最新記事

狭い空間を快適に変える「お家芸」

続 ニッポン大好き!

味噌、ネイル、短歌、神道とロボット
「和」の凄さは外国人の匠に聞け!

2010.08.06

ニューストピックス

狭い空間を快適に変える「お家芸」

アズビー・ブラウン(建築デザイナー、金沢工業大学未来デザイン研究所所長)

2010年8月6日(金)12時08分
佐野尚史

柔軟な発想 ロフトを寝室に活用(左)、わずか9坪で快適な住空間を追求した「すみれ・あおいハウス」(右上)、縦長の窓で明るい家に(右下) Courtesy of Azby Brown (3)

日本の伝統建築と現代建築に魅せられたアズビー・ブラウン(52)は、エール大学在学中に留学した日本で、思いもよらない「建築」に心を奪われた。狭小な土地を最大限に使う住宅建築や、狭い空間の有効な利用方法だ。

 来日した当初、彼はまず寮のユニットバスに驚いた。「洗面台を動かさないとトイレが使えない構造のものもあった」とブラウンは笑う。ユニットバスだけではない。布団を圧縮して収納すること、アメリカの半分以下の容量なのに使い勝手がいい冷蔵庫......驚きは彼の研究対象になり、93年にはさまざまな空間利用のテクニックを紹介する英語の著作『スモール・スペース』を出版することになった。

「日本では建築家や大工だけでなく、家具メーカーも住宅メーカーも空間の有効利用を考えている。また主婦向けの雑誌では、住む側から膨大なアイデアを発信している」と、ブラウンは言う。海外でもすき間家具は売られているが、「日本に住む人が見たらあくびをしてしまうかもしれない」

 05年にブラウンが出版した『ベリー・スモール・ホーム』は、取り上げる対象を日本の家具から住宅建築に広げたものだ。日本ではバブル崩壊後、狭小な土地を逆手に取ってユニークな家を建てることが「クールになった」と、ブラウンは指摘する。「家の大きさよりデザインや住み方が重要になった」

 本書には、半階ずつずらしたフロアが連続するスキップフロア構造の家など、定番の間取りからはかけ離れた住宅がいくつも取り上げられている。「住む側にとっては『実験』と言えるかもしれない。日本人は伝統的な住み方を捨て、新しい住み方にどんどんチャレンジしようとする傾向がある」と、ブラウンは言う。「そこにエネルギーや創造性を感じる」

 日本の面積はこれ以上広くならない。ブラウンを驚かせる家は、今後もまだまだ出現しそうだ。

[2008年10月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界の運用担当者、強気度が4年半ぶり高水準=Bof

ビジネス

アングル:長期金利、27年ぶり水準でも達成感なし 

ワールド

中国、トランプ氏の「平和評議会」から招待状 受諾は

ワールド

英のインド洋要衝巡る主権移譲、「完全な弱腰対応」と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 2
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危険生物」を手渡された男性、「恐怖の動画」にSNS震撼
  • 3
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 10
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中