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小泉純一郎(1942-)
「日中関係の将来をあまり心配していない」
[2004年12月15日号の掲載記事を2006年2月1日号にて再録]
第1期目の就任から3年7カ月、本誌クリスチャン・カリルと高山秀子が、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議を控えた小泉純一郎首相への単独インタビューに成功した。当時も小泉の靖国参拝による日中関係の悪化が影を落としていた。05年の総選挙で歴史的な圧勝を遂げたが、公言し続けたとおり、小泉は06年9月の任期を終え退陣する見込みだ。外交問題はポスト小泉にも重くのしかかる。
----日中首脳の相互訪問は、この3年間実現していない。経済交流がこれほど盛んな現在、首相は日中関係をどう位置づけているか。
中国首脳との会談は、胡錦濤国家主席や温家宝首相とも続けている。相互訪問は01年以来やっていないが、日中関係は日本にとって最も重要な関係の一つだ。
私が首相に就任した当時は、いわゆる「中国脅威論」や「中国警戒論」が国民の間にあった。そのとき私は、中国のめざましい発展は「脅威」ではなく、むしろチャンスと受け止めるべきだと言った。
政治でも経済でも文化やスポーツでもいろいろな交流が進んでいて、私は日中関係の将来をあまり心配していない。靖国参拝の問題はほんの一部だ。
----自衛隊の役割をどう考え、憲法のどの部分の改正が最も求められていると思うか。
基本的人権とか、平和、民主主義とか、変えなくていいところもたくさんある。変えなければならない点は、自衛隊というものを、国民と憲法がはっきりと認知することだと思う。
自衛隊の存在が憲法違反だという議論はかつてもあったし、今でも起こっている。憲法上は陸、海、空のいかなる戦力も放棄すると言っている。では自衛隊は本当にそういう戦力をもっていないのかというと、中学生でも「戦力がなければ国の防衛もできないのではないか」と理解している。自衛隊は、誰がみても憲法違反ではないと明記したほうがいい。
----06年に首相の座から降りる気持ちに変わりはないか。
降ります。
----小泉改革の一部はまだ緒に就いたばかりのものもあるが、どのように改革を推し進めるのか。
構造改革路線は後戻りさせない。民間でできることは民間で、地方でできることは地方でやる。できるかぎり新しい時代に対応できるようにするのが構造改革だ。
----小泉改革は自民党改革だともいわれるが、今の時代における自民党の役割とは何か。
改革を進めるのが自民党の役割だと思う。私のめざす改革に反対を表明しているが、実際には協力してくれている。与党から反対の声が上がるとメディアは反対一色に解釈するが、与党は最後には良識を発揮して協力してくれる。
----自分のリーダーシップの取り方、政治手法とはどのようなものと考えているか。
与党からも野党からも面白い批判がある。片方は私が独裁者という批判で、もう一方は「丸投げ」。指導者には両方必要だと思う。