最新記事

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』

シネマ!シネマ!
シネマ!

あの名作、話題作を
辛口レビューで斬る
増刊「映画ザ・ベスト300」
7月29日発売!

2009.08.03

ニューストピックス

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』

クリスマスにあこがれる魔物たちの寓話

2009年8月3日(月)13時02分

ハロウィーンをつかさどる町の王様ジャック(中央)はクリスマスを主催しようと張り切るが Sipa/amanaimages

 この作品を見るときは、両目をしっかり開けておこう。ストップモーション・アニメ独特の映像は、まばたきする間が惜しくなるほど楽しさいっぱいだ。

 ティム・バートン(『シザーハンズ』)が製作を手がけたこのアニメ・ミュージカルは、クリスマスやハロウィーンをつかさどる町が別世界にあるという発想に基づいて作られた。舞台は、気取った骸骨野郎ジャック・スケリントン(別名カボチャ大王)が君臨するハロウィーンタウン。配下の鬼やグレムリンたちが、せっせと子どもたちを怖がらせている。

 だがジャックは骸骨に載せた王冠がうっとうしくなっていた――お化けなんかもううんざりだ。人生にはコウモリの翼やカエルのスープよりましな何かがきっとある!

 確かにあった。たまたま秘密のドアをくぐったジャックは、雪の降る楽しげなクリスマスタウンに迷いこみ、猛烈に感動する。

 どうやって祝うのかわからないけど、自分もクリスマスをやってみたい。ハロウィーンタウンに戻ったジャックはすぐに命令を下す。今年のクリスマスはハロウィーンタウンの住人が主催する、と......。

 この作品は発想だけでなく出来栄えもすばらしい。小さな子供には少々ひねりが利きすぎているかもしれないが、8歳以上ならジャックのうつろな目の奥に優しげな輝きを見てとれるはずだ。 

 ストップモーション・アニメは物体を1コマずつ微妙に動かして撮影し、それを1秒24コマで映写することによって生き生きした動きを作る。大変な労力を要するこの古い手法で、従来の限界を超えるスムーズな動きが生み出された。

 キャストもユニーク。不気味な怪物ウーギー・ブーギーは、キャプ・キャロウェイ風の詩を感動的に歌う。ヒロイン役はボロ人形のサリー。とれた手足を冷静に自分で縫い付ける。数え上げればきりがないが、これぞバートンの想像力の証明だ。ディズニーのアニメーターとして働いていた頃から、彼はこの企画を夢見ていた。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』は、ハロウィーンの季節が来るたびに上映される名作になるかもしれない。

[1994年10月26日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から

ワールド

ウクライナ和平交渉団が米国入り、トランプ政権高官と

ワールド

イラン指導者ハメネイ師、トランプ氏がデモ扇動と非難

ワールド

欧州8カ国に10%追加関税、トランプ氏表明 グリー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 6
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中