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省エネ努力が最高のCO2削減策
既存のテクノロジーを生かすだけでエネルギー利用は20%も効率化できる
外交政策 オバマはエネルギー効率化を外交政策の中核に据えることができるか Jason Reed-Reuters
バラク・オバマが大統領就任後、気が遠くなるような問題の山に直面することは、予言者でなくとも容易に予想できる。それらの課題の多くは直接的、あるいは間接的にアメリカの長期的なエネルギー政策にからんでいる。
エネルギー政策はガソリン価格に限った話ではない。アメリカの負債額はいったいいくらあり、どこの国が国債を買っているか。石油をめぐって世界中で起きる対立に、どう対処するか。消費財のコストを抑え、インフレを抑制することができるか。産業界は製造部門を維持できるか。化石燃料に依存し続けた場合、気候や環境にはどんな悪影響が出るか----。
エネルギー危機に真っ向から取り組みつつ、同時に経済を成長させていくために、次期政権には多様な選択肢を含んだ政策が必要だ。どんな政策を立てるにしろ、土台はエネルギー利用の効率化と省エネ、エネルギー源の多様化に収斂されるだろう。つまり、再生可能エネルギー、石炭や原子力のクリーンな利用、石油と天然ガスの自給拡大などだ。
こうした解決策は遠い未来の話ではなく、すでに一部で採用されている。効率化と省エネはエネルギー供給量を増やしたり二酸化炭素(CO2)の排出を減らすうえで最も安価なだけでなく、最も簡単で環境にやさしい方法でもある。
全米石油審議会によると、既存の技術を利用するだけでも、アメリカのエネルギー使用量を20%削減できるという。目標を25%に引き上げれば、ペルシャ湾岸諸国から輸入するエネルギー総量と同じ量を減らすことができる(ダウ・ケミカル社も2015年を期限として、同様の目標を設定している)。
すでに、多くの企業が自主的に対策を取りはじめている。ダウ・ケミカルは95年以来、22%の効率化に成功した。効率化に10億ドルを投じて70億ドル相当のエネルギー消費を削減し、さらに7000万トン分のCO2排出を抑制した。
実用化されたテクノロジーを生かすだけで効率化は達成できる。工場が出す廃熱を暖房などに利用するコジェネレーション技術もその一つ。これを大規模に展開すれば、輸入石油への依存度はかなり減るだろう。
官民の連携プレーに期待
企業にインセンティブを与え、高効率のコジェネレーション計画やその他のプロジェクトを推進するために、政府は投資税控除制度を設けるべきだ。デンマークやフィンランド、オランダ、ドイツ、オーストリアといった国々はすでに税金を控除し、コジェネレーションを推進させている。
手軽に着手できる対策はほかにもある。アメリカのエネルギー需要の40%は、家庭やオフィスビルの冷暖房用。排出される温室効果ガスの50%も、この冷暖房に由来する。
新規物件の建築や中古住宅の改築について、政府はエネルギー効率を見据えたガイドラインを設定するべきだ。環境にやさしい設計や、8年前にカリフォルニア州が市民に省エネを訴えるために導入したような教育プログラムを奨励することも重要だ。
官民で連携を強めるのも賢明な措置だ。すでにエネルギー省は全米製造者協会と連携し、同協会は所属する1万3000社にエネルギー効率化の最良事例を導入するよう呼びかけている。
議会はエネルギー効率化や再生可能エネルギーの使用を奨励する税控除の存続を2年ごとに審議し直しているが、これでは意味がない。税控除を恒久化すれば、民間企業は化石燃料の需要を減らすテクノロジー開発により定期的に投資するだろう。
何よりも、オバマ率いる次期政権にとって重要なのが、エネルギー効率化を外交政策の中核に据えることだ。
世界最大の石油輸入国だったアメリカが、世界最大の省エネや代替エネルギー・テクノロジーの輸出国として名をはせる----実に素晴らしいことではないか。
[2008年12月31日号掲載]