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いよいよ始まるトランプvsバイデンの討論会はここに注目せよ
討論会前の「期待マネジメント」は、討論会自体と同等に重要だ。多くの場合、肝心なのは議論を制することより、期待を上回ること。2000年大統領選に向けた第1回討論会では、民主党候補のアル・ゴアが共和党候補のジョージ・W・ブッシュを圧倒したが、ブッシュが前評判を大きく覆したため、実質的に引き分けと見なされた。
トランプはこれまでにバイデンを間抜け扱いし、史上最高の米大統領を自任する過ちを犯している。ハードルがこれほど低いなら、特に冴えたパフォーマンスでなくても、バイデンは楽にクリアできる。討論会の勝敗判定には態度やボディーランゲージ、自信の程、気質や活力がものをいうことが多い。
重要なカギを握るのが司会者の「参加度」だ。彼らは、その場で発言のファクトチェックを行うのか。トランプは虚偽や嘘を口にする傾向があるから、積極的に介入するタイプの司会者ならバイデンが有利だ。司会者が黙っているなら、有利なのはトランプ。トランプにはボスの風格があり、バイデンの討論の力量は16年大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントンよりはるかに劣る。
今回の討論会はアメリカの歴史上、最も予測不可能かつ重要なものになる可能性がある。トランプは米政治を襲った最大の竜巻で、その進路は予測できない。一方、バイデンは最も失言が懸念される米大統領候補かもしれない。
当日、討論会を見ながら食事をするなら、軽めにしておこう。最終結果について、私が自信を持って予想できることはただ1つ。胃がひっくり返る体験になるはずだ。
<2020年9月29日号掲載>
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