Picture Power

ケネディ大統領暗殺をとらえた 市民たちの記録

JFK November 22, 1963

Photographs by Courtesy of International Center of Photography

ケネディ大統領暗殺をとらえた 市民たちの記録

JFK November 22, 1963

Photographs by Courtesy of International Center of Photography

ケネディ大統領夫妻とテキサス州知事コナリー夫妻(1963年11月22日ダラス) 撮影者不詳 International Center of Photography, Museum Purchase, 2013.

 近年は、災害や紛争、事件、事故などの現場に偶然居合わせた人たちが携帯電話のカメラ機能を使って記録する機会が増え、撮影された画像はニュース写真としての役割を果すことも多くなった。だが半世紀も前にテキサス州ダラスで起きたジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件もまた、アマチュア写真家によって貴重な記録が残されていた。

 惨事へと転じるパレードの沿道には、当時の中流階級に普及していた比較的安価なカメラを手にした市民たちが繰り出していた。大切なイベントに一緒に出かけた家族や恋人の記念写真を撮るついでに、目の前を通過する大統領の姿を自らのカメラに収めようという軽い気持ちだったのだろうかーー新しく買ったカメラの性能や自分の撮影技能を試すつもりだったのかも知れない。

 歓声の高まりとともにケネディ夫妻を乗せたオープンカーが、視界に滑りこんでくる。笑顔で手を振る大統領を凶弾が襲った瞬間にシャッターが切られたフィルムには、悲劇のクライマックスが写っていた。

 ニューヨークの国際写真センターでは、アマチュア写真家たちが撮った写真を中心に構成した展覧会「1963年11月22日:市民が記録したケネディ暗殺の1日」を開催している(2014年1月19日まで)。チーフキュレーターのブライアン・ウォリスは、「(ニュース用の)写真はプロのカメラマンが撮るものという常識は、1963年11月22日に崩れ去った。それに代わって、カメラを持って見物していただけの市民カメラマンたちが、この忘れがたい瞬間と歴史的な重要性を記録する上での中心的な役割を果たした」と語る。プロの写真家とは違った視点で撮られた写真の中には、「市民ジャーナリスト」のひとつの起源が見られ、プロのニュースカメラマンの役割についても考えさせられる。

関連リンク:
「JFK November 22, 1963: A Bystander's View of History」

編集部ーー片岡英子

*本誌11月12日号(11/5発売)では、ケネディ大統領一家と暗殺事件の写真特集「50年を経てよみがえるJFKの精神」を掲載中です。

MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中