Picture Power

暴力と貧困に壊れゆくシカゴ

CHICAGO’S BLOODY YEAR

Photographs by Jon Lowenstein

暴力と貧困に壊れゆくシカゴ

CHICAGO’S BLOODY YEAR

Photographs by Jon Lowenstein

発砲事件の容疑者を捜索する警察のヘリコプター

 「残念だがシカゴは死にかけている。うわべはまともな社会に見えるかもしれないが、ダウンタウンから2ブロックも歩けばすぐに荒れ地にぶち当たる」。シカゴのラッパー、ルーペ・フィアスコはそう語る。暴力によって崩壊しつつある街──それがシカゴだ。犯罪件数は増加を続け、昨年の殺人件数は506件と前年比16%増。500件を超えたのは4年ぶりだ。人口270万人と全米第3位の大都市だが、殺人発生率ではトップを独走している。

 なかでも危険な場所として知られるサウスサイドはここ10年で激変した。シカゴの大半を占め、ブルースやジャズの本場とされるこの地域では社会の崩壊が進み、住宅開発から取り残され、ドラッグが蔓延し、貧困地域も拡大している。街を歩けば、荒れ果てた建物と路上にたむろする人々が至る所で目につく。銃撃に巻き込まれて罪のない子供が亡くなる事件も相次ぎ、連邦政府は対策の強化を叫んでいる。だが今年に入ってからも、暴力事件は増加するばかりだ。

 この地域に長年暮らしたジョン・ローエンスタインは、ここ10年のサウスサイドの変遷をカメラに収め続けた。そこには、大都市シカゴの暗部がありのままに映し出されている。

Photographs by Jon Lowenstein-Noor

<2013年4月23日号掲載>

MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 7
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 8
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 9
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 10
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 8
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中