ポイ捨て最多の渋谷に現れた「ゲーム×喫煙所」の真の目的
ゲーミフィケーションで行動変容を促したい
遊びや競争といった人を熱中させるゲームの要素を、ゲームと関係のない領域に採り入れる手法を「ゲーミフィケーション」と呼ぶ。2010年にアメリカで提唱され、消費者の購入意欲を高めたり、利用者の態度変容、行動変容を促したりするマーケティング手法として広まってきた。
「ポイ捨て図鑑」(*1)も「投票型喫煙所」(*2)もユニークな取り組みで、まさにゲーミフィケーションだ。山下氏は動画マーケティングの会社を以前に起業しており、マーケティング手法には詳しい。コソドではこれらの企画を立てるなかで、成功事例をかなり調べ、スタッフたちと仕組みを考えたという。
(*1:「ポイ捨て図鑑」は現在も継続中で、プレゼントがもらえるキャンペーンの第2弾が6月20日頃から始まる予定。投稿対象のエリアが決まっているので注意)
(*2:「投票型喫煙所」は終了時期は未定で、当面の間実施予定)
参考事例の1つは、インフラの老朽化を防ぐため、本来は自治体が行うべき「下水道マンホールの蓋のデータ収集」を、市民にゲームアプリで参加し、撮影してもらうことで解決する「マンホール聖戦」。全1万個ほどのマンホールが3日で撮影し終わった昨年8月の渋谷区を皮切りに、日本各地で開催されている。
「投票型喫煙所」もヨーロッパで既に成功事例がある。ロンドンのサットン地区では、これによりポイ捨てたばこの量が46%削減したとされる。これが山下氏が「以前から考えていた企画」で、山下氏によれば、渋谷の「投票型喫煙所」では最初の週末後、吸い殻やペットボトル、空き缶などのポイ捨て量が通常の週末の10分の1になっていた。
「たばこは企業が参入しづらい領域だし、マネタイズも難しい。むしろ僕たちのような小規模なグループのほうが、頑張れば社会貢献をしやすい」と、山下氏は話す。「それぞれの人がお互い好きなものを認め合える社会の一助になればと思っています」
とはいえ、1民間企業のできることには限界もある。国や自治体が施策としてたばこ規制を進めている以上、喫煙所の整備にも本腰を入れてもらいたいところだ。
山下氏の元には現在、全国各地の自治体から「ポイ捨て図鑑」を知って問い合わせが相次いでいるという。こうした遊び心のある取り組みが今後、さらに広まっていくことを願いたい。