最新記事
シリーズ日本再発見

コロナだけじゃない、「二重苦」と戦う日本の飲食業界

2020年05月15日(金)16時18分
高野智宏

新宿・思い出横丁 aon168-iStock.

<新型コロナウイルスで売り上げ激減、未曽有の危機を迎えている業界だが、それだけではない。4月1日から、改正健康増進法により飲食店は全て「原則屋内禁煙」となったからだ。喫煙客が多い業態の店には打撃だが、実は禁煙には「例外」もある>

日本の飲食店が悲鳴を上げている。緊急事態宣言は5月末まで延長され、新型コロナウイルス危機の収束にはまだまだ時間がかかりそうだ。観光業界やエンターテインメント業界、航空業界など、あらゆる産業が影響を受けており、飲食業界が受けたダメージもこれまでにないほど甚大である。

首都圏において飲食店への客足が遠のき始めたのは、まだ国内の感染者数が1ケタ台に留まっていた1月下旬頃。最初に影響を受けたのは、通常なら中国からの観光客が多い店舗だったようだ。

「ここ新宿南口店は新宿駅からほど近く、また近隣にホテルがあることもあって、以前から外国人観光客、なかでも中国人観光客のお客様が多い店舗です」と、全国に約30店舗あるカフェ「セガフレード・ザネッティ」を運営するセガフレード・ザネッティ・ジャパンのマーケティングマネージャー、服部公一氏は振り返る。

「コロナ騒動の影響で中国政府が団体旅行を禁止(1月27日)して以降、お客様の数が目に見えて減り始めました」

時が経つにつれ、状況は悪化していく。世界各国で感染が拡大し、日本を訪れる観光客数も大幅に減少。さらには、3月25日に小池百合子都知事が「感染爆発の重大局面」と述べて外出自粛要請を発表すると、日本人客を含め、来店数は一気に激減した。3月の売り上げは「予測では前年比60%程度はダウンしたと感じます」と、服部氏は肩を落とす。

営業時間の長いカフェ以上にダメージが大きいのが、多くが夜間のみの営業となる居酒屋やバー、スナック、クラブなどだろう。政府や東京都もたびたび、出入りを控えるよう要請してきた。

居酒屋の「金の蔵」や「月の雫」など、多くのブランドで飲食店を展開する三光マーケティングフーズでは、2月末頃からコロナ騒動の影響が出始めた。外出自粛要請が出された3月末からは特にその傾向が顕著になったという。「現在休店中の店舗も多く、これまで経験したことのないほどの事態となっています」と、広報などを担当するHR・カンパニーユニットの西川絢氏は言う。

原則屋内禁煙の4種類の「例外」

しかし、飲食店が苦境に陥っている理由は実はウイルスだけではない。4月1日から受動喫煙防止を目的とした「改正健康増進法」が全面施行され、飲食店は全て、原則屋内禁煙に。店内での喫煙が「マナーからルールへ」と移行したのだ。

もちろん禁煙化を歓迎する人も少なくないが、特に居酒屋やバーなどの経営者からは、たばこを吸えないことが客足減少につながるという不安の声が以前から多く出ていた。

ただし、一切たばこが吸えなくなるかと言えばそうではない。禁煙の前の「原則」の文字が示すとおり、例外もあって、特定の条件を満たす店舗ではこれまでどおり喫煙が可能だ。しかし、昨年12月時点では飲食業界の人も6割しかきちんと理解していなかったというほど、その条件や分類がややこしい。

ここでは、経営規模や事業内容により異なる、4種類の「例外」――喫煙可能な飲食店の条件を整理してみよう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ブラックフライデーの米オンライン売上高は過去最高、

ワールド

北朝鮮の金総書記、空軍の核戦争抑止力を強調 式典で

ビジネス

中国製造業PMI、11月は8カ月連続50割れ 非製

ワールド

米・ウクライナ、30日にフロリダで会談 和平案協議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中