最新記事
シリーズ日本再発見

日本のプロレスが海外で人気爆発! 新日本プロレス・メイ社長に逆輸出の秘訣を聞いた

2018年12月17日(月)11時35分
井上 拓

©新日本プロレス

<プロレス・ブームが再燃。復活を先導する新日本プロレスはグローバル戦略にも着手している。「プロレスは日本のコンテンツ」と言うメイ社長が明かした、世界で戦うために必要なこととは>

いま日本のプロレス界が再び盛り上がりをみせているのをご存じだろうか。

メジャー・マイナー数多ある団体の中でも、このブームを大きく索引するのは1972年の設立以来、日本のプロレス界発展に寄与し影響を与えてきた新日本プロレスだ。2000年代から2011年頃にかけては人気が低迷し、経営の危機的状況に陥ったこともあった。

その「新日本」がこの数年で苦境から脱し、観客動員数を伸ばし、低迷時の4倍以上もの売り上げを挙げる見事なV字回復を遂げた。「プ女子」と呼ばれる新しいファン層を開拓するなど、日本のプロレス・ムーブメントを創り出しているのだ。

さらに「新日本」が挑戦しているのがグローバル戦略だ。そもそもプロレスは日本由来の格闘技(スポーツ)ではないが、日本ならではのコンテンツ産業として進化を遂げ、逆輸出とも言うべき海外市場への進出を推し進める。

人気復活の背景には何があるのか? 日本発信のコンテンツ力とは? いかにして世界のファンを虜にしていくのか?

そのヒントを探るべく、改革の担い手として2018年に社長に就任したハロルド・ジョージ・メイ氏をインタビューした。

japan181217-2.jpg

ハロルド・ジョージ・メイ社長/オランダ生まれ、米ニューヨーク大学大学院修了。1987年、旧ハイネケン・ジャパン入社。サンスター執行役員や日本コカ・コーラ副社長を経て、2014年タカラトミー入社。翌年、代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)に。2018年より新日本プロレスリングの代表取締役社長兼最高経営責任者に就任 ©新日本プロレス

――新日本プロレスが爆発的な人気により復活を遂げました。なぜ再び支持されるようになったのでしょうか。

人気復活の理由は、たくさんあります。1つだけ上げるとするなら、2012年にブシロードが親会社となって、きちんとしたマーケティング戦略に着手したことが大きいと思います。

マーケティングの領域もいろいろありますが、例えば、SNSが分かりやすいのではないでしょうか。選手がツイッターやブログ、インスタグラムなどで、ファンの方々と直接コミュニケーションできる手立てを始めました。

なぜ選手を好きになって、ファンになるのかと考えれば、もちろんその理由の半分は試合の内容でしょう。でも、もう半分はというと、人間というか、その選手を人として好きになる、という理由があるのだと思います。

試合以外にも、一個人としての私生活をSNSで発信するようになった。そうすると、人としての魅力が分かりますよね。昔はリングの上でしか見えなかったものが、ここ数年リングの外の姿も見えるようになったわけです。

こんな練習をしましたとか、新しい技を開発しましたとか、このケーキが好きとか、今朝こんなパンを食べましたとか(笑)。

どういう思いで、今日このリングに立っているのか。リングに上がるまでに、いろいろな苦労があったけど、それを乗り越えてきたのだとか。今日はいい試合ができるのか。いい試合をした、〇〇選手はやっぱりすごい、となる。

「感情移入」がキーワードなんだと思います。試合以外での感情移入がこれまで以上にできるようになったことは、人気復活のきっかけにつながっていると思います。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中