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ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
これが上海万博の真実だ!
5月1日の開幕日には、中国館に入ろうとする人たちがチケットをめぐってケンカを始めるほど「盛況」だった上海万博だが、その後の入場者数は1日20万人を確保するのがやっと。目標の7000万人達成はかなり難しそうだ。
過去最多となる246の国・地域と国際機関が参加した上海万博に閑古鳥が鳴いているのはなぜか。今月12日に現地を訪れた本サイトコラム『Tokyo Eye』の筆者で歌舞伎町案内人の李小牧氏に聞いた。
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――現地の様子は?
李:まず下の写真を見てほしいが、5月12日の夕方の時点でこんなにガラガラ(笑)。なかなか入れないと言われた中国館にも30分で入れた。
ⓒLee Xiaomu
中国館の第1展示ゾーンは12階建てで、一番上まで上って中国の都市化をテーマにした映画(下の写真)を見た後、下まで展示物を見ながら歩いて降りる構造になっているのだが、この映画がたいした事ない(笑)。
ⓒLee Xiaomu
第2展示ゾーンではレールの上を走る列車に乗って中国建築の特徴を見学するはずが、列車が故障して(下の写真)修理に1時間かかると言われたので、乗るのを止めてしまった(笑)。
ⓒLee Xiaomu
――なぜ盛り上がりに欠けるのだろう。
李:あまりに警備が厳しくて緊張感が強く、お祭り気分になれない。外国人にきちんとしたところを見せなければ、と思うあまり規制が厳しくなり過ぎている。上海市内は車の通行もナンバーで規制されている。
――入場者数が伸び悩んでいる理由は?
李:中国は日本のように庶民層が沖縄や北海道に旅行に行ける国ではない。上海万博に行けるのは富裕層。彼らは国内旅行に行く暇とカネがあれば、海外に行ってしまう。また中国は広いから、東京から日帰りで愛知万博に行くような気楽さで上海万博には行けない。
中国館から帰る見学者 ⓒLee Xiaomu
――北京や広東の人が「あくまで上海のイベント」と捉える中国の地域性も影響しているのでは。
李:今、中国のメディアは万博一色で、地域の温度差はそれほどないはず。ただ中国には行列する文化はないので、中国館の前に何時間も並ぶニュース映像を見て、「ああ、これなら家でテレビを見ているほうがいい」と大勢の中国人が感じたかも。でもガラガラというニュースが流れれば、抜け目ない中国人がまた殺到する可能性もある(笑)。
中国館の前の万国旗 ⓒLee Xiaomu
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普段なかなか見られない科学技術や外国の物産を実際に見る、というのが万博の本来の趣旨。なのに、上海万博はすっかり中国が自国の国威を発揚する「中国博覧会」と化している。中国人がわざわざ万博に「中国」を見に行かず、家でインターネットやテレビを見ているのは、ある意味ごく自然な姿のように思えるのだが......。
――編集部・長岡義博
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