世界が恐れるロシアの超長距離地対空ミサイルS-400(写真は2014年) Vasily Fedosenko-REUTERS
<ベラルーシのロシア軍を監視していた専門家グループによれば、ウクライナ国境から40キロの飛行場に超長距離地対空ミサイルS-400など強力な兵器を集結させている>
軍事情報を追跡するある独立系グループによれば、ロシアは「ウクライナへの大規模攻撃」に備えてベラルーシに地対空ミサイルシステムを集結させているという。
「ベラルーシアン・ハジュン」プロジェクトという名のグループが8月15日のテレグラムに投稿したところによれば、衛星画像の分析により、ウクライナ国境からおよそ40キロに位置するベラルーシのジアブロウカ飛行場に兵器が集められていることがわかったという。グループは、ベラルーシがロシアの軍事行動を支援する場合に備えて監視してきた。
「飛行場の状況の分析により、ベラルーシからウクライナ領土へのロケット攻撃の可能性があるだけでなく、ロシアが今後数週間のうちにウクライナへの大規模なミサイル攻撃をおこなう準備を進めているらしい兆候が見てとれる」と、ベラルーシアン・ハジュンは述べている。
また、7月28日に最後に大規模な攻撃がおこなわれて以来、ベラルーシからはウクライナに向けて1発のロケットも発射されていないことも指摘している。
米国の宇宙技術企業マクサー・テクノロジーズの衛星画像を使った分析として同グループが述べているところによれば、ジアブロウカ飛行場には、超長距離地対空ミサイル「S-400トリウームフ」10〜14基、近距離対空防御システム「パーンツィリ-S1」2基、「KASTA-2E2」および「48Y6 Podlet」のレーダーシステム3基があるという。
またこの飛行場には少なくとも15〜60発のS-400地対空ミサイルの保管にも使われているが、さらに多くがロシア航空宇宙軍から届けられる見込みだという。
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、2月に開始されたロシアによるウクライナ侵攻が国際的に非難されているにもかかわらず、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の強固な味方であり続けている。
ベラルーシは、ロシアともウクライナとも国土を接していることから、ルカシェンコはロシア軍にベラルーシ国内の通過を許可し、ロシアからウクライナの首都キーウへと至る近道を提供していた。
戦争初期にロシア軍がキーウ陥落に失敗したあとの4月には、ロシアはベラルーシを利用して軍の再配置をしている、と米国防総省が述べていた。
ベラルーシアン・ハジュンは8月11日、目撃者の話をもとに、ジアブロウカ飛行場付近で「少なくとも8回の爆発」があったと伝えている。ベラルーシ当局は爆発について、エンジン交換後に車両に火がついたものとして、犠牲者はいないと説明した。だが、ベラルーシアン・ハジュンは飛行場近くの「大きな閃光」をとらえた動画を投稿し、「エンジン火災」の状況には合致しないと指摘した。
ベラルーシアン・ハジュンが8月15日の投稿で述べているところによれば、前週の爆発で「T-72」戦車1台が破壊され、この攻撃で犠牲者が出たことが衛星画像で示されているという。爆発の原因については説明されていない。
(翻訳:ガリレオ)