Gauthier Bouret-iStock
<観光客に人気のイギリスの近衛兵たちだが、彼らをテーマパークのキャラクターのようなものと勘違いしてしまわないことが重要だ>
英女王の警護にあたる近衛兵が、乗っていた馬の手綱に触れて写真撮影をしようとした女性を大声で制した動画がインターネット上で拡散され、波紋を呼んでいる。投稿者は近衛兵に「攻撃」されたと不満を露わにしているが、動画を見た人々からは、むしろ近衛兵を称賛する声が集まっている。
■【動画】近衛兵の馬の手綱に触れ、大声で注意されてしまう女性観光客
動画投稿アプリTikTok(ティックトック)に4日に投稿された映像には、女性が写真撮影のため近衛兵の乗る馬の横に立って馬に触れると、馬が匂いを嗅ぐようなしぐさをする様子が捉えられている。
さらにカメラの前でポーズを取り始めた女性が馬の手綱に触れようとしたところ、近衛兵は「女王のライフガードから離れろ! 手綱に触るな!」と大声で叫んだ。
すると女性は、驚いたように胸の前で両手を握って飛び退いた。
動画を投稿したユーザー「phigs_」は、「近衛兵が義理の母を言葉で攻撃した」とのテキストを映像に追加。「この出来事を受け、私たちがロンドンに来ることは二度とない」とのキャプションを添えた。
動画の再生回数は500万回を超えているが、寄せられたコメントは投稿者に同情的ではない。
「近衛兵に触れてはいけない。当然だ」「爆笑ものだ。彼らは観光客のためにいるのではない」「これだから他の国に旅行するときは、していいことと悪いこと、そしてその国の文化を知らなければならない」などとユーザーは述べている。
近衛兵と馬は任務中だったとの指摘も多い。「彼らは任務にあたっている最中であり、置物ではない」「攻撃だって?! 私ならもっと大声で叫ぶ。彼らは兵士であり、仕事をしているのだ」といった批判もあがっている。
また、女性が手綱を触ったのは危険だという意見もある。
「手綱に触れると驚いた馬がその方向に動くため、彼の行動は正しい」とのコメントの他、別のユーザーは「手綱は(馬の)体の最も敏感な場所である口につながれており、一度でも間違って引くととんでもないことになる」と指摘。「悪いのは近衛兵ではなく彼女だ」
近衛師団によると、ライフガーズは近衛騎兵隊の司令部があるホースガーズに詰めている近衛騎兵隊騎馬連隊の兵士で構成され、女王がロンドンにいる時は、将校1人、(隊旗を持つ)先任伍長1人、下士官2人、トランペット奏者1人、騎兵10人から成る「ロングガード」が警護にあたる。
女王が不在の際は、近衛兵は下士官2人と騎兵10人に減る。「ホースガーズの入り口は、日中ほとんど騎兵2人が警護にあたっている」と近衛師団は説明している。