20年後のデスクワーカーの姿を予測した等身大モデル「エマ」- Fellowes
<20年後、人々の身体がどのように変化するおそれがあるのかを予測した等身大の人形の姿が過激すぎて話題に......>
酷い猫背に丸々と太った腹、足はむくみ、カサカサの肌で、目は充血している──。20年後のデスクワーカーの姿を予測した等身大モデル「エマ」が公開され、そのグロテスクな容姿が話題となっている。
「エマ」は、オフィス製品メーカーのフェローズが行動未来学者のウィリアム・ハイアム氏ら、人間工学や労働衛生などに精通する専門家とともに実施した調査をもとに「デスクワーカーの働き方や職場環境が改善されなければ、20年後、人々の身体がどのように変化するおそれがあるのか」を表現したものだ。
姿勢の悪い状態が長時間続くと猫背になり、長時間座りっぱなしだと、運動不足で腹部が丸く太り、血流が悪くなって足の静脈がこぶ状に浮き出る「下肢静脈瘤」になってしまう。コンピュータスクリーンを長時間見つづけるとドライアイになって目が充血し、同じ動作の繰り返しによって手首が腫れる。また、オフィスの人工照明に長時間さらされて肌が荒れ、劣悪な空気環境で鼻毛や耳毛が伸びる。ストレス性の湿疹を発症することもある。
調査チームでは、1日6時間程度、ほぼ座りっぱなしで仕事をしている英国、フランス、ドイツのデスクワーカー約3000名を対象にアンケートを実施した。その結果、回答者の50%が眼精疲労、49%が腰痛、48%が頭痛に悩まされており、およそ7割が薬剤に頼って症状を緩和させていることがわかった。また、回答者の25%以上が職場環境の改善をすでに求めているが、十分な対策はまだ講じられていない。
いうまでもなく、職場環境は、労働生産性や収益性にも大きな影響を及ぼす。従業員の病気に伴う生産性低下により、英国では年間770億ポンド(約10兆7900億円)規模の損失が出ており、ドイツでも750億ユーロ(約9兆円)規模の損失が出ているとみられる。また、フランスでは、従業員が年間17日、病気休暇をとっている。
調査チームは、このような調査結果をふまえ、デスクワーカーには、定期的に休憩を取ることや、座りっぱなしにならずに適度に動くことを勧めている。また、企業側に対し、職場での健康管理の一環として、人間工学に基づいたデスクや椅子などを導入し、最適な仕事場を備えることで、デスクワーカーの健康維持につなげるべきだと説く。
調査レポートをまとめたハイアム氏は、英紙インディペンデントの取材において「一連の調査結果は、労働環境の改善に向けて、企業と労働者がただちに行動すべきであることを示している。職場での生活を大胆に変えなければ、オフィスで健康を害してしまう」と警鐘を鳴らしている。