ルワンダの首都キガリに、テクノロジー業界での起業を目指す人々を支援する施設「シンク」がある。その一室でティモシー・ムウィジヒレは、夜遅くまでパソコンに向かっていた(冒頭写真)。隣の部屋では著名な銀行家による講演に数十人の若者が耳を傾け、積極的に質問していた。
100万人近くが犠牲になったとされるルワンダ虐殺から今年で22年。この国はIT立国を掲げるポール・カガメ大統領の下で目覚ましい発展を遂げ、「アフリカの奇跡」と呼ばれる。3選禁止の憲法を改正したカガメは今年1月、来年の大統領選へ向けて3選出馬を表明した。
写真家のフアン・エレーロはルワンダに6週間滞在し、悲しい過去を背負いながらも前進し続けている若者たちの姿をカメラに収めた。かつて死体がそこら中に放置されていた通りには、今では真新しいオフィスビルが立ち並ぶ。ITを学んだ若者たちは、牛乳の供給網を携帯電話で追跡できるシステムを開発したり、ルワンダ版のトリップアドバイザーを立ち上げたり――。
彼らの起業家精神と革新性が「新生ルワンダ」をさらなる復興へと導いていく。
撮影:フアン・エレーロ
1984年、スペイン生まれ。マドリード・コンプルテンセ大学で国際経済・開発を専攻。オランダとキューバでも研究を続けたが、その後写真家へと転向した
Photographs by Juan Herrero for the Pulitzer Center on Crisis Reporting
<本誌2016年2月23日号掲載>
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