最新記事

メルマガ限定ページ

隠れたヒットメーカー、LPとは?

2017年04月27日(木)18時30分

リアーナなど著名アーティストに曲を提供してきたLPがソロで勝負 MICHAEL COMTE

<リアーナらのヒット曲を手掛けたシンガーソングライターが語る大人の恋とジェンダー、そしてトランプ>

この冬ヨーロッパで大ヒットした「ロスト・オン・ユー」は、長年尽くしたパートナーに捨てられた男(または女)の心理を歌ったロックバラード。フランス、ポーランド、ギリシャ、セルビア、スイス、トルコなど各国のチャートで第1位に輝き、YouTubeでの再生回数は1億回を超える。

切なくも力強い歌声を聴かせるのは、LPことローラ・パーゴリジー(36)。ニューヨークはロングアイランド出身のシンガーソングライターだ。黒いシャツからのぞく胸の大きな帆船のタトゥーは、同性愛者としてのセクシュアリティーと信念を表現しているという。

LPは新人ではない。これまでにソロデビューのチャンスは何度かあったが、レーベルとの意見の違いなどから、うまくいかなかった。だがその間も、バックストリート・ボーイズやリアーナのために書いた曲がヒットして、業界内では着実に実力が認められてきた。

14年にようやくメジャーレーベルからCDデビュー。昨年末には2枚目のスタジオアルバム『ロスト・オン・ユー』がカナダとヨーロッパでリリースされ、タイトルナンバーの大ヒットにつながった。今年は母国アメリカでの活動を本格化し、ヨーロッパから「凱旋」するLPに、本誌トゥファエル・アフメドがロンドンで話を聞いた。

――「ロスト・オン・ユー」はあなた自身の経験がベースになっているのか。

5〜6年付き合っていたイギリス人女性がいた。それから(14年にニューヨークで開かれた)ポール・サイモンのトリビュートコンサートに出演したとき、サイモンの曲をいろいろ研究した。そして自分でも、もっと大人のラブソングを書きたいと思った。自分の欠点や心の底にあった不安があらわになるような、大人の恋だ。

――あなたの歌声も印象的だ。

「ロスト・オン・ユー」には、聴く人の心をえぐるような側面がある。4分半の曲で、人間の心理や気持ちをがらりと変える。そういうことをやってみたいと思っていた。

この曲を書いたときは、仕事もプライベートも最悪だった。レーベルとの契約も、パートナーとの関係も続いていたから、表面的には万事順調に見えたかもしれない。

でも、レーベルはまともなプロモーションをしてくれなかったし、パートナーは愛が冷めて、別の誰かに心移りしているようだった。すごく不安で、自分が誤解されている気がして、孤独だった。

――あなたは自分のアイデンティティーに自信を持っているように見えるが、ずっとそうだったのか。

もちろん葛藤はあった。10代の頃は、みんな「そんな格好して何のつもり?」という雰囲気だった。私は誰も見たことがないもの、誰もコントロールできないものになりたかった。昔から、私の中に別の誰かがいて、表に出てこなければいけないとずっと感じていた。

でも(同性愛者の)ロールモデルになりたいなんて思わない。私は自由な気持ちでいたいだけ。それを見て誰かが触発されたなら、それで結構。私は多様性が好き。ひとことに同性愛者とか異性愛者といっても、いろいろなジェンダー、あらゆる肌の色、あらゆる信条の人がいる。

MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明らかに【最新研究】
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 8
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 7
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中