コラム

【人生相談】「愛猫が死にました」3歳の娘にどう伝える? 専門家にも聞いた

2020年01月08日(水)12時10分

PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTO BY THINKSTOCK

<ありのままを話すのは良くない? 世界中の宗教と哲学が頭を悩ませてきた「死」について、子供の発達が専門のアビゲイル・マクナミー教授(ニューヨーク市立大学リーマン校)の助言も踏まえて、スレート誌人生相談員ニック・グリーンがお答えします>

Q:先月、わが家の猫が死にました。子供たちにもありのままを話しました。「エルフィが昨日、死んだの。あの子には、もう会えないのよ......庭に埋めたわ」。死について子供にどんなふうに話せばいいか、これまで考えたこともありませんでした。

率直に言い過ぎたかもしれません。あれ以来、3歳の娘が毎日(本当に毎日です)、「猫は死んじゃった?」と聞いてくるんです。子供は死を本当に理解することができるのでしょうか。

── 100万回の質問に悩む母

A:まずはお悔やみを申し上げます。動物関連ではこれまで猫の歯磨き粉や犬のブーツの相談に答えてきましたが、今回は繊細な問題なので専門家にも助言を求めました。

娘さんに正直に話をしたことは、良かったですね。「子供は真実を知るべきです」と、子供の発達が専門のアビゲイル・マクナミー教授(ニューヨーク市立大学リーマン校)は言います。それが命について、何かしら理解するきっかけになるそうです。

死は、世界中の宗教と哲学が頭を悩ませてきた問題です。娘さんも、幼いなりに考えているのです。毎日そこにいた猫がいなくなった、どうして? 答えを知りたいですよね。でも今の彼女の知能では、同じ質問しかできないのも無理はありません。教授が言うように、「不可能に思えることを理解しようとしている」のです。

ペットの死は「自分が無力だと感じる機会」になると、教授は言います。娘さんが自分にもできることがあると思えるように、例えばエルフィの好きだったところを書き出したり、思い出を物語にしたり、「死んだ動物に敬意を表すること」を一緒にするといいでしょう。

猫の死についてあなたに質問することが、娘さんには必要なのです。同じ質問に1000回、答えなくてはいけないとしても。

── ニック・グリーン(スレート誌人生相談員)

©2019 The Slate Group

<2019年12月17日号掲載>

▼あわせて読む
【人生相談】「ペットショップで子犬を買ったの」と言わずに済む方法
【人生相談】「サンタを信じているふりをして」と子持ちの友人に言われました

20200114issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

プロフィール

スレート誌人生相談員

育児や家庭生活から人間関係、セックスまで、誰にも言えないあらゆる悩みに米作家やライターが答えます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story