中国、太平洋島しょ国への影響力再拡大 米に代わり援助額2位に
ローウィー研究所が20日公表した年次の「太平洋援助マップ」によると、2022年に中国からの太平洋島しょ国への二国間開発援助額は前年比6%増の2億5600万ドルとなり、米国に代わって第2位の座を回復した。16日撮影(2024年 ロイター/Leah Millis)
[シドニー 20日 ロイター] - ローウィー研究所が20日公表した年次の「太平洋援助マップ」によると、2022年に中国からの太平洋島しょ国への二国間開発援助額は前年比6%増の2億5600万ドルとなり、米国に代わって第2位の座を回復した。最大の援助国のオーストラリアに次ぐ位置で、影響力を高めている。
太平洋島しょ国への全体の開発資金額は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への支援が縮小したことを受け、22年に前年比18%減となり、減少率は過去最大だった。一方、中国はコロナ禍を経て22年に事業を大幅に拡大した。
報告書は「中国はコロナ禍の停滞から抜け出し、より競争力のある、政治的に狙いを定めた援助モデルを打ち出した。中国は政府予算の直接移転などを活用している」と指摘した。
報告書によると、08年から16年にかけて中国は太平洋地域の二国間債務の89%、二国間インフラ事業の3分の1を占めていた。16年末までに中国の銀行は11億ドル以上を貸し付けた。この援助はいわゆる「債務のわな」と呼ばれて懸念を呼び、中国の外交的圧力を受けやすくなるリスクがあるとの不安を高めた。中国は22年にこうした懸念を背景に戦略を転換したとみられ、無償援助を増やした。
米国、ニュージーランド、日本の22年の開発援助額は、いずれもコロナ禍前の水準を下回った。