G20サミット、ウクライナ問題深入り避けたブラジル大統領に欧州首脳が不快感
19日に閉幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、議長役を務めた開催国ブラジルのルラ大統領(写真中央)がウクライナ情勢に関する討議を早めに打ち切って首脳宣言を初日に公表したことを巡り、欧州の首脳が不快感を示している。18日、リオデジャネイロで撮影(2024年 ロイター/Ricardo Moraes)
Lisandra Paraguassu Elizabeth Pineau Andreas Rinke
[リオデジャネイロ 19日 ロイター] - 19日に閉幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、議長役を務めた開催国ブラジルのルラ大統領がウクライナ情勢に関する討議を早めに打ち切って首脳宣言を初日に公表したことを巡り、欧州の首脳が不快感を示している。
ドイツのショルツ首相は19日、ロシアによるウクライナ侵攻からちょうど1000日の節目だったにもかかわらず首脳宣言でロシアの開戦責任が強調されなかったのは残念だと表明。「G20がロシアの責任を明示する言葉を見つけられなかったのは、あまりにも物足りない」と語った。
首脳宣言は通常、会議の最終日に出される。しかし複数の外交官の話では、ルラ氏は初日の18日の討議時間を早めて宣言文書の承認を決定し、その瞬間にはフランスとドイツ、米国の首脳は居合わせていなかった。
フランスのマクロン大統領は18日夜記者団に「ルラ氏によって取りまとめられた首脳宣言は、われわれが確保できたはずの姿勢まで踏み込めなかった」と述べ、ウクライナの戦争についてもっとはっきりした態度を示せれば宣言文書の価値が高まっただろうと付け加えた。
一方でマクロン氏は「フランスの立場は変わらない。戦争はロシアがウクライナに対して始めた侵略であり、われわれが優先するのは持続的な和平の獲得だ」と主張した。
討議に参加したブラジルの外交官3人はロイターに、欧州側はロシアの戦争を巡る責任についてもっと強い表現を用いるよう求めたが、ブラジルとしては首脳宣言が出せないまま会議を終えるリスクを避けるため、18日夜に急いで宣言を承認したと明かした。