ニュース速報

ワールド

北朝鮮、巡航ミサイルなどの発射報道 金氏は軍需工場視察

2022年01月28日(金)14時33分

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は28日、同国が25日に長距離巡航ミサイル、27日に地対地戦術誘導ミサイルの発射実験を実施したと報じた。2014年10月撮影(2022年 ロイター/Denis Balibouse)

[ソウル 28日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は28日、同国が25日に長距離巡航ミサイル、27日に地対地戦術誘導ミサイルの発射実験を実施したと報じた。これとは別に、金正恩朝鮮労働党総書記が「主要な兵器システム」を製造する軍需工場を視察したと伝えた。

KCNAによると、試射したのは長距離巡航ミサイルの改良型で、地対地戦術誘導ミサイルは従来型弾頭の威力を確認するために発射実験を実施した。

25日に試射した長距離巡航ミサイル2発は約2時間半にわたり1800キロ飛行し、標的としていた東岸沖の島に命中したという。

27日に試射した戦術誘導ミサイル2発も標的に正確に命中し、弾頭部の爆発威力が設計通りであることが示されたと伝えている。

金正恩氏は発射実験に立ち会わなかったが、KCNAは別の記事で、同氏が視察した軍需工場について、「主要な兵器の生産」で進展を果たし、同国軍の近代化において「非常に重要な地位と義務」を担い、国家防衛発展戦略を実現していると称賛したと伝えた。兵器の詳細や工場の場所については触れていない。

工場で金正恩氏は「強力な最新鋭兵器」を生産するための「総力戦」を呼び掛け、工場の従業員は自衛権を侵害しようとする「米国の帝国主義者とその属国勢力の挑戦」を「最も厳しい逆境」とし、その粉砕に向けた同氏の献身を称えた。

KCNAはまた、「戦闘機能・任務を果たすことができる強力な弾頭の開発を続ける」と付け加えた。

米ジェームズ・マーティン不拡散研究センターのミサイル専門家、ジェフリー・ルイス氏は軍需工場について、北朝鮮の第2の都市である東部・咸興にある龍城機械連合企業所の「2月11日工場」のようだと指摘した。

視察の写真に写っている巨大な金属チューブは、「KN23」あるいはその他の短距離弾道ミサイルのモーターケーシングのようだとツイッターに投稿した。

米国防総省のカービー報道官は「不安定化を招く」としてミサイル発射を非難し、「挑発をやめる」よう北朝鮮に呼び掛けた。

欧州連合(EU)も声明を発表し、ミサイル実験は国際社会と地域の平和と安全を脅かすと同時に、対話再開と北朝鮮国民への支援に向けた取り組みを損なうと指摘した。

韓国軍合同参謀本部は27日、北朝鮮が東岸から弾道ミサイルと推定される飛翔体2発を発射したと発表していた。ミサイル発射実験は今月に入って6回目で、米国から非難の声が上がった。

韓国軍はまた、北朝鮮が25日に巡航ミサイルとみられるもの2発を東海(日本海)に向けて発射したもようだと明らかにしていた。

ソウルの北韓(北朝鮮)大学院大学校の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は、北朝鮮が今後、挑発を強める可能性は高く、2月と4月の故金正日総書記の生誕80年と故金日成主席の生誕110年の記念日に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)かその他の強力なミサイルを発射する可能性があると指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アップル、欧州委が是正策阻止と主張 DMA違反の申

ワールド

造船再生で1兆円投資基金の実現急ぐ、民間は3500

ワールド

EU加盟国、気候目標の緩和が可能な改定求める 首脳

ワールド

国際司法裁、ガザでの人道義務順守を勧告 イスラエル
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 9
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中