ニュース速報

ワールド

インド中銀、政策金利を過去最低に据え置き 「成長が最優先事項」

2021年12月08日(水)17時46分

 12月8日、インド準備銀行(中央銀行)は8日、政策金利のレポレートを過去最低の4%に据え置いた。写真はインドのムンバイで2011年1月撮影(2021年 ロイター)

[ムンバイ 8日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は8日、政策金利のレポレートを過去最低の4%に据え置いた。リバースレポレートも3.35%に据え置いた。

インフレや新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」が経済活動に悪影響を及ぼす可能性を指摘し、成長が最優先事項だと表明した。

ダス総裁は記者会見で「現段階での最優先事項は成長の復活だ。物価の安定もわれわれの関心事で、現時点で物価安定の必要性を見失うことなく、成長に集中する」と述べた。

中銀は、新型コロナの流行を受け、昨年3月以降、レポレートを計115ベーシスポイント(bp)引き下げている。

今回、緩和的な政策スタンスは維持したが、銀行システムの余剰流動性を吸収する計画の大枠を示し、来年初めにも利上げする可能性がでてきた。

ロイターの調査によると、エコノミスト50人全員はレポレートの据え置きを予想していたほか、2022年下半期よりも前の変更を見込んでいない。

リバースレポレートに関する調査に回答した41人のうち、4分の1は引き上げを予想していた。

ダス総裁は「経済に緩みがあり、経済活動のキャッチアップが続いている、特に個人消費はパンデミック前の水準を依然下回っていることを考慮すると、継続的な政策支援は持続的かつ広範な回復のためには正当化される」と説明。新型コロナウイルスの新変異株による混乱は回復を遅らせるリスクがあると述べた。

総裁によると、金融政策委員会(MPC)は政策金利のレポレートに関して現状維持を全会一致で決定したほか、5対1の過半数で緩和的な政策スタンスの維持を決めた。

コタック・インスティテューショナル・エクイティーズのシニアエコノミストは、オミクロン株に起因する不確実性を考慮したとみられ、予想以上にハト派と評価。その上で、オミクロン株がさほど毒性が高くなければ、来年2月に主要借入金利のリバースレポレートを20bp程度引き上げ、流動性の吸収を若干加速させるとの見方を示した。

<経済見通しを維持、流動性調整を継続>

中銀金融政策委は、今年の成長率予想を9.5%、消費者物価上昇率予想を5.3%でそれぞれ据え置いた。

インフレ率はここ数カ月、中銀の目標レンジ(2─6%)内に収まっている。しかしダス総裁は、インフレが目先加速する可能性があり、コアインフレ率の高止まりが懸念要因と述べた。

中銀は予想通り、銀行システムの過剰流動性の調整に向け、変動金利リバースレポ(VRRR)入札を整備拡充する方針を示した。

ダス総裁は「中銀は引き続き、混乱を起こさない形で流動性のリバランスを継続すると同時に、生産的セクターのニーズに応じて十分な流動性を維持していく」とし「期間14日のVRRR入札を主要な流動性管理オペレーションとして再構築するのが目的だ」と述べた。

総裁は、インド経済は回復軌道の点で比較的良い位置にあるが、世界的な波及的影響やオミクロン株など新変異株の出現で感染が急拡大する可能性と無縁ではないと指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低

ビジネス

日本企業の政策保有株「原則ゼロに」、世界の投資家団
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中