ニュース速報

ワールド

北朝鮮、新型SLBM実験に成功 潜水艦から発射=KCNA

2021年10月20日(水)14時21分

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は20日、同国が19日に潜水艦からの弾道ミサイル(SLBM)発射実験に成功したと報じた。写真は金正恩朝鮮労働党総書記。提供写真(2021年 ロイター/KCNA via REUTERS)

[ソウル 20日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は20日、同国が19日に新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に成功したと報じた。実験に使用した潜水艦は、2016年に最初のミサイル発射実験に使用したものと同じだとしている。

韓国軍は19日、北朝鮮が東方沖にSLBMを発射したとの見方を示していた。

米政府はさらなる「挑発」を控えるよう北朝鮮に要求。ホワイトハウスのサキ報道官は19日、米側は北朝鮮の兵器開発について外交による対話に応じる用意があると表明した。

韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相は20日、北朝鮮が対話の場に戻った場合には制裁を緩和するよう、米政府に求めた。

鄭外相は議会で「北朝鮮が核・ミサイル能力の開発をさらに進めるのを阻止するため、できる限り早急に行動する必要がある」と主張。「制裁緩和の検討が一つの選択肢になるのではないか」とした。

外交筋によると、米英は20日の国連安全保障理事会の会合で、今回のミサイル実験について取り上げる意向という。

KCNAは、この「新型」SLBMは16年の旧型SLBMの発射実験に関与したのと同じ潜水艦から発射されたと報じている。

アナリストはKCNAが公開した写真から、北朝鮮の初期の型のSLBMよりも細く、小型のミサイルのようだと指摘。先週平壌で開催された防衛展示会で初めて展示された新型モデルの可能性があるという。

これは、より多くの短距離ミサイルを1隻の潜水艦に搭載することができ、核武装した北朝鮮が弾道ミサイル潜水艦(SSB)の運用に近づく可能性があることを意味しているという。

国際戦略研究所のジョセフ・デンプシー研究員は「SLBMの小型化で、SSBも小型化や設計簡素化が可能になる。既存の潜水艦との統合や転換も容易になると考えられる」とツイートした。

KCNAは「側面移動と滑空移動など多くの高度な誘導制御技術が導入された新型SLBMは、国の防衛技術や海軍の水中作戦能力を高めることに大きく貢献する」と伝えている。

米カリフォルニア州のジェームス・マーティン不拡散研究センターの上級研究員デーブ・シュメラー氏は、「北朝鮮は潜水艦発射の選択肢を広げようとしているようだ」と分析。「興味深い展開だが、1発か2発のミサイルを理論上発射できる潜水艦が水中に1隻だけあっても、状況は大して変わらない」と続けた。

また、KCNAが伝えている「側面(flank mobility)移動」が具体的に何を意味しているのかは不明だが、「滑空移動(glide skip)」はミサイルの軌道変更により追跡や迎撃を難しくする技術という見方を示した。

韓国の慶南大学校で教鞭を取る元海軍士官のKim Dong-yup氏は、飛距離や外見、誘導技術を踏まえると、19年に初めて実験が行われた短距離弾道ミサイル「KN─23」の次世代版である可能性があると指摘している。

金正恩朝鮮労働党総書記が実験に立ち会ったとの報道はない。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中