ニュース速報

ワールド

トランプ氏、「アリペイ」など中国アプリ禁止 大統領令に署名

2021年01月07日(木)02時02分

 1月5日、トランプ米大統領は、中国の金融会社アント・グループの電子決済サービス「アリペイ」を含む8つの中国系アプリとの取引を禁止する大統領令に署名した。写真はホワイトハウスで2020年11月撮影(2021年 ロイター/Erin Scott)

[ワシントン/北京 6日 ロイター] - トランプ米大統領は5日、中国の金融会社アント・グループの電子決済サービス「アリペイ」を含む8つの中国系アプリとの取引を禁止する大統領令に署名した。ホワイトハウスが発表した。

米高官によると、多くのユーザーを抱え、個人情報にアクセスできる中国系アプリが米国民にもたらす脅威に対応するための措置という。

大統領令についてはロイターが最初に報じた。

大統領令では、国家の安全保障を守るため、米国が中国のアプリ開発業者に対して「積極的な措置」を講じる必要があると表明。

「中国のソフトはスマートフォンやタブレット、コンピューターなどの個人用電子機器にアクセスすることで、ユーザーの個人情報や機密情報を含む膨大な量の情報を取得することが可能」とし、こうしたデータ収集を通じて「中国は連邦政府の職員や請負業者の位置を追跡し、個人情報の記録を構築することができる」と指摘した。

商務省が45日以内に具体的にどの取引を禁止するか決定する。対象となるアプリはアリペイのほかに、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)のQQウォレットやウィーチャットペイ、キャムスキャナー。

SHAREit(シェアイット)、テンセントQQ、アリババ傘下のUCWebが開発したVMate(ブイメイト)や、キングソフト・オフィス・ソフトウエアのWPSオフィスも含まれる。

アリババ、テンセント、キャムスキャナー、シェアイット、ワシントンの中国大使館などのコメントは現時点で得られていない。

1月20日に新政権が発足するのを前に、トランプ氏は対中強硬姿勢を一段と強めている。一方、バイデン氏は就任初日にこの大統領令を無効にすることも可能。

政府高官によると、商務省は禁止する取引を特定するために政権交代前に動く計画という。

ロス商務長官は声明で、トランプ氏による「米国民のプライバシーや安全を中国共産党の脅威から守ろうとする取り組み」を支持すると表明した。

中国外務省の華春瑩報道官は6日の会見で、中国企業の正当な権利を守るため必要な措置を講じると表明。また中国商務省は、米国の方針が公正な競争に反するほか、アプリを使った非接触型決済は新型コロナウイルスの流行で世間に広く浸透しており、中国ばかりでなく米国の顧客や企業にとっても利益が損なわれるとウェブサイトで批判した。

調査会社センサータワーによると、アリペイのアプリは昨年、米国のアップルやグーグルのストアで約21万回ダウンロードされた。キャムスキャナーは440万回、WPSオフィスは約56万回ダウンロードされている。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領が戒厳令、国会は拒否 軍介入やデモなどで

ワールド

イスラエル高官、トランプ氏の人質解放要求を歓迎 ガ

ワールド

ブラジル第3四半期GDP、前期比0.9%増 金融引

ビジネス

米求人件数、10月は予想上回る増加 解雇は減少
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「IQ(知能指数)が高い国」はど…
  • 6
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 7
    スーパー台風が連続襲来...フィリピンの苦難、被災者…
  • 8
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 9
    なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?.…
  • 10
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 9
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 10
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中