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米銀ロビイスト、ウォーレン氏抑え込みで穏健派民主党議員に接近

2019年12月17日(火)12時46分

 12月16日、銀行業界に厳しい姿勢で臨むエリザベス・ウォーレン上院議員(写真)の影響力を排除するため、米銀行のロビイストがより穏健な民主党議員の取り込みに動いていることが、ロビイストなどへの取材や選挙関連データで分かった。写真はアイオワで15日撮影(2019年 ロイター/Brenna Norman)

[ワシントン 16日 ロイター] - 銀行業界に厳しい姿勢で臨むエリザベス・ウォーレン上院議員の影響力を排除するため、米銀行のロビイストがより穏健な民主党議員の取り込みに動いていることが、ロビイストなどへの取材や選挙関連データで分かった。

民主党の大統領候補指名争いでトップを争うウォーレン氏は、ウェルズ・ファーゴやゴールドマン・サックス、シティグループなど金融大手を標的にして名を上げてきた。今回の選挙戦でも大手行の解体、金融取引税の導入、銀行の資本・流動性規則の強化など、米銀にとって打撃となる政策を提案している。また、長年にわたり銀行が大統領候補に影響を及ぼす手段となってきた企業献金も拒否している。

銀行業界はウォーレン氏が大統領選で勝利しなくとも、民主党候補の誰かが大統領となって政権が発足した場合、ウォーレン氏が金融政策に大きな影響力を振るうのを懸念している。

ロビイストはウォーレン氏の提案を防ぐ上で共和党議員を当てにすることができるが、いかなる大胆な法案でも阻止するには民主党の穏健派議員を取り込む必要があると考えている。ほとんどの法案で成立に60%以上の支持を要する上院では、とりわけこうした議員との連携が欠かせない。

上院は来年35議席が改選され、選挙で勝った政党がぎりぎりで過半数を取る見通しだ。

ロビイストによると銀行が標的としている民主党議員は、マーク・ウォーナー氏(バージニア州)やダグ・ジョーンズ氏(アラバマ州)など再選に向けて選挙資金を必要としている勢力のほか、キルステン・シネマ氏(アリゾナ州)やゲーリー・ピーターズ氏(ミシガン州)など超党派的な動きをした経歴を持つ面々だ。

センター・フォー・レスポンシブ・ポリティクスのデータによると、ピーターズ氏など民主党議員の一部は今回の選挙戦で、マコネル上院院内総務など大物共和党議員を上回る現金を受け取っている。

銀行と銀行ロビーグループは今回の選挙戦で議員に総額580万ドルを渡したが、このうち民主党議員に流れた分の比率は33%で2010年以来の高水準となっている。

コンサルタント会社カルバート・アドバイザーズの最高経営責任者(CEO)で銀行ロビイストのカム・ファイン氏は「敵対的な政権が発足すれば厄介なことであり、銀行業界は議会に対する相当な影響力を駆使してこうした困難を和らげようと努めている」と述べた。

ロイター
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