ニュース速報

ワールド

世銀がパンデミック債開始、感染症拡大防止に早期資金拠出

2017年06月29日(木)14時36分

 6月28日、世界銀行は、2014年のエボラ熱のような感染症拡大による危機に際し速やかに資金を拠出するための「パンデミック債」をローンチした。写真はエボラ熱のワクチン。英国で2015年1月撮影(2017年 ロイター/Eddie Keogh)

[ロンドン 28日 ロイター] - 世界銀行は28日、2014年のエボラ熱のような感染症拡大による危機に際し速やかに資金を拠出するための「パンデミック債」をローンチした。昨年公表した「パンデミック緊急ファシリティ(PEF)」の取り組みの一環。

パンデミック債はいわゆる「キャットボンド(大災害債券)」の一種。感染規模や拡大のスピード、感染者の発生国数に応じて支払いを実行する。感染症に対応したキャットボンドは初めてという。エボラの時よりも速やかに対応資金が拠出できるようにするのが狙い。

世銀幹部によると、アフリカ西部では2014年の早い時期にエボラが拡大したが、もしその時にPEFがあれば、14年7月にも1億ドル程度を動かせたはずだという。実際には資金が出回り始めたのは3カ月遅れで、その時までに死者数は10倍に拡大した。

この幹部は、PEF全体で向こう5年間、感染症に対し5億ドル超の対応資金を融通すると強調。この中には28日に債券市場で調達した3億2000万ドルと、スワップ取引での1億0500万ドルの計4億2500万ドルが含まれるという。

世銀によると、パンデミック債に対しては、キャットボンド投資家や年金基金などから募集額の2倍の応募があった。

パンデミック債では、世銀は債券保有者に対し保険プレミアム相当分などを支払う。もし支出の対象となる感染拡大事例が発生すれば、償還されず、元本の全てないし一部がPEFの信託基金に繰り入れられる。世銀幹部は「基本的に投資家は保険会社のような役割を果たす」と説明している。

PEFは、最貧困国のための世銀グループの基金である国際開発協会(IDA)がカバーする全ての国が対象となる。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米企業幹部90人超、ハリス氏に支持表明 元NBA選

ビジネス

NY連銀総裁「金融緩和の時期到来」、初回利下げ幅は

ビジネス

NY連銀総裁「金融緩和の時期到来」、初回利下げ幅は

ビジネス

FRB利下げの地合い整う、雇用統計受け 大幅緩和か
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
  • 2
    「私ならその車を売る」「燃やすなら今」修理から戻ってきた車の中に「複数の白い塊」...悪夢の光景にネット戦慄
  • 3
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 4
    「冗長で曖昧、意味不明」カマラ・ハリスの初のイン…
  • 5
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立て…
  • 6
    世界に400頭だけ...希少なウォンバット、なかでも珍…
  • 7
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 8
    【クイズ】最新の世界大学ランキングで、アジアから…
  • 9
    セブン「買収提案」の意味は重い...日本企業の「バー…
  • 10
    7人に1人が寝つきの悪さに悩む...「夜のエクササイズ…
  • 1
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つの共通点
  • 4
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 5
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 6
    無数のハムスターが飛行機内で「大脱走」...ハムパニ…
  • 7
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 8
    再結成オアシスのリアムが反論!「その態度最悪」「…
  • 9
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 10
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中