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スイス中銀、マイナス金利据え置き フラン高抑制へ緩和策継続へ

2017年06月16日(金)09時29分

 6月15日、スイス国立銀行(中央銀行)は、スイスフランへの上昇圧力を軽減するため、超緩和的金融政策を維持すると発表した。写真はベルンで昨年4月撮影(2017年 ロイター/Ruben Sprich)

[ベルン 15日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は15日、スイスフランへの上昇圧力を軽減するため、超緩和的金融政策を維持すると発表した。

主要政策金利を据え置き、中銀預金金利はマイナス0.75%に、3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の誘導目標はマイナス1.25─マイナス0.25%に維持した。決定はエコノミストの予想通りだった。

中銀はスイスフランについて引き続き「大幅に過大評価されている」と指摘。フラン高抑制のため、マイナス金利と為替市場への介入を継続する意向を示した。

ジョルダン総裁は、為替介入で膨れ上がったバランスシートの縮小を検討しているかとの質問に対し、「検討課題ではない。低インフレ、生産の不稼働部分、大幅に過剰評価されたスイスフランなどの点から、引き続き金融政策は拡張的だ」と述べた。

USBのエコノミスト、アレッサンドロ・ビー氏は、欧州中央銀行(ECB)が今年下期に来年の資産縮小開始を公表すると見込んでいるとしたうえで「ECBのややタカ派的な政策スタンスにより、スイス中銀は今後数四半期、金融政策面での余地がある。まずは政策を維持してフランを軟化させるだろう。2018年6月にこの政策余地を利用して金利を引き上げる可能性がある」と述べた。

ジョルダン総裁は、必要なら利下げの可能性を排除せず、フラン押し下げへ為替介入も可能と述べた。

中銀は四半期評価で、世界経済は予想通り、一段と堅調になっていると指摘。大半の先進国で物価の上昇が引き続き控えめになるなか、労働市場は上向いているとの認識を示した。

「こうした状況下で、日本とユーロ圏を中心に非常に拡張的な金融政策が続く可能性が高い。一方、米国では金融政策の正常化が段階的に進む見通しだ」との見方を示した。

中銀はインフレ率見通しについて、今年は0.3%で維持したが、18年の見通しは0.4%から0.3%に、19年は1.1%から1.0%に引き下げた。

ジョルダン総裁は、フランス大統領選でマクロン候補が勝利したことで、政治リスクは一定程度低下したが、完全になくなったわけではなく、依然フランの上振れ圧力となっていると指摘した。

中銀は今年の国内経済成長率は、3月に示した約1.5%から変更しなかった。しかし総裁は基本シナリオには「かなりの下振れリスクがある」と述べた。

中銀は、各国の政治状況を注視するとともに、為替市場への介入によりユーロ圏の先行き不透明感に対応している。

中銀は年初からの介入で470億スイスフラン(484億ドル)以上の外貨を購入したもよう。ただ、ここ数週間、介入規模は縮小している。

クレディ・スイスのアナリスト、マキシム・ボッテロン氏は「欧州の政局安定が続く限り為替介入の必要性は低下する。ただ、中銀が利上げを行うにはユーロ/スイスフランはまだ低水準過ぎる」との見方を示した。

*内容を追加しました。

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