ニュース速報

ビジネス

情報BOX:中国不動産大手の碧桂園、債務危機のポイント

2023年09月04日(月)14時43分

 中国不動産最大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の債務危機は注目の的となっている。碧桂園の債務危機のポイントをまとめた。写真はマレーシア南部ジョホールバルで8月、閉鎖した店舗が並ぶ碧桂園が開発を手掛けた商業施設(2023年 ロイター/Edgar Su)

Xie Yu

[香港 2日 ロイター] - 中国の景気減速が世界的に市場を揺るがしているが、同国経済は約4分の1を不動産セクターが占める。そのため不動産最大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の債務危機は注目の的となっている。複数の関係者は2日、碧桂園が債権者から人民元建て債の返済延長の承認を得たと明かした。

碧桂園の債務危機のポイントをまとめた。

<不安視される理由>

碧桂園は今年まで売上高が国内最大の不動産開発会社で、2021年に債務不履行に陥った中国恒大集団など同業他社と比べて財務が健全だと考えられていた。

碧桂園の負債は中国恒大の59%にとどまるが、国内での開発プロジェクト数は3103件と、恒大の約800件を大幅に上回っている。

碧桂園が債務不履行に陥れば中国の不動産危機がさらに深刻化して国内金融機関への負荷が増し、不動産市場だけでなく中国経済全体で回復が遅れそうだ。

<財務の悪化状況>

碧桂園の上半期決算によると、6月末時点の負債総額は約1940億ドルで昨年末時点と同じ。今後1年以内に返済期限を迎える債務は1087億元(149億ドル)相当で、手元現金は1011億元程度。

先月初めにドル建て債の利払いが2回滞り、流動性の逼迫が明らかになった。2日に償還期限を迎える債務39億元の返済延長を求めて債権者と話し合っていた。

今後は年内に毎月、他のドル建てオフショア債の利払いが期限を迎える。クレジットサイツによると年末までの国内債券の支払いは総額126億元。

<政府による救済の有無>

中国経済は2021年に不動産危機に見舞われたが、その後不動産開発業者の債務拡大に対する規制が強化された。以来、いくつかの業者が破綻の危機に瀕したが、政府はこれまでのところ民間業者に対する直接的な救済は行っていない。

ただ中国恒大の経営危機の場合は、同社が拠点を置く広東省政府が2021年末、金融危機の影響を抑えるため対応に動いた。

今のところ中国当局は住宅ローン金利の引き下げや住宅購入制限の緩和など、不動産市場をてこ入れして低迷する経済を下支えすべく、一連の政策を相次いで発動している。

しかし碧桂園の見通しは悪化している。

ムーディーズは8月31日、碧桂園の信用格付けを、「Caa1」から「Ca」へと3段階引き下げた。同社は流動性のひっ迫に直面しており、債権回収の見込みは小さいとした。

碧桂園も8月30日、業績悪化が続けば債務不履行のリスクがあると警告した。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF

ワールド

イスラエル、ガザで40カ所空爆 少なくとも43人死

ワールド

ウクライナ、中国企業3社を制裁リストに追加 ミサイ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 6
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 9
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 10
    トランプに弱腰の民主党で、怒れる若手が仕掛ける現…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中