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JAL社長、水際対策終了「観光需要を促進」 今期最終益59%増へ

5月2日 日本航空(JAL)は2日、2024年3月期(今期)の連結業績予想(国際会計基準)について、最終利益が前年比59.8%増の550億円になる見通しと発表した。写真は2020年10月、羽田空港で撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)
[東京 2日 ロイター] - 日本航空(JAL)は2日、2024年3月期の連結業績予想(国際会計基準)について、最終利益が前年比59.8%増の550億円になる見通しと発表した。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ旅客需要が回復する。
IBESによるアナリスト9人の予想平均753億円は下回った。
会見した赤坂祐二社長は、4月29日から日本の水際対策が撤廃されたことについて「日本人の観光需要、アウトバウンドが促進されるとかなり期待している」と述べた。この日は米国政府が入国時のワクチン接種義務を11日に撤廃することも発表しており、日本人の渡航先として人気の高い「ハワイ(路線の需要増)も相当期待できる」と語った。
5月8日以降はコロナの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられる。この影響については今期業績予想に織り込み済み。赤坂社長は「日本人の観光需要が戻り、回復がより確実なものになる。見立ての精度が上がってくる」と期待を込めた。
今期の旅客需要は、国内線が2019年のコロナ前と比べて94%程度、国際線が65%程度の回復を見込む。赤坂社長は、国際線は「単価が非常に上がっており、コロナ前の6割増しくらい。そのうちの半分が燃油サーチャージと為替。残りの2-3割は需給逼迫による」と説明。国内線は、リモートワークの普及で「ビジネス需要が弱い。特に地方発」と語った。
同時に発表した24年3月期の利益(EBIT=財務税引き前利益)の目標は1000億円で、中期経営計画で当初打ち出した1700億円から大幅に引き下げた。国際線の回復が当初の見立てよりも遅れることなどを考慮した。26年3月期の1850億円以上とする利益目標は従来のまま据え置いた。
<13年ぶりに貨物専用機導入、ヤマトHDと提携>
同社はこの日、13年ぶりに貨物専用機を3機導入することも発表した。24年3月期末から東アジア中心の国際線で始め、将来的には国内線でも運航する。電子商取引(Eコマース)の拡大などにより成長性の高い宅配需要が見込まれることから、ヤマトホールディングスと提携し、安定した事業収益を狙う。
赤坂社長は、これまでは景気動向に伴う「ボラティリティー(収益の変動性)が高くなるとしてやめていたが、新たな物流パートナーと提携し、安定的に需要をとっていく」と語った。会見に同席した斎藤祐二・専務執行役員も、Eコマースでの宅配も景気の影響を全く受けないわけではないが、「一般の方々の消費に伴って物が動く。間違いなく右肩上がりで成長し、安定性が十分にある事業」とみている。