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中国、中南米貿易の大半で米国凌駕 バイデン政権でも差拡大
6月8日、ロイターが国連の2015-21年の貿易統計を独自分析したところ、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいるメキシコを除き、中南米諸国の中国との貿易額が対米貿易を上回っていた。写真は中国からの輸入品を売るペルー・リマの中央市場。2018年8月撮影(2022年 ロイター/Mariana Bazo)
[ブエノスアイレス/リマ/ロサンゼルス 8日 ロイター] - ロイターが国連の2015-21年の貿易統計を独自分析したところ、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいるメキシコを除き、中南米諸国の中国との貿易額が対米貿易を上回っていた。中国に追い越されたのはトランプ前政権の2018年からだが、バイデン政権が発足した昨年にこの傾向が加速していた。
昨年のデータ(暫定値)によると、中国はメキシコ以外の中南米諸国との輸出入総額が2470億億ドルで、米国(1740億ドル)よりはるかに多かった。中国とメキシコの貿易額も15年の約750億ドルから1100億ドルに増えたものの、米国とメキシコ間では15年の4960億ドルが6070億ドルに拡大していた。
中国との貿易増加が目覚ましいのは南米のアルゼンチンやチリ、ペルーだが、ブラジルでもそうした動きが見られた。南米の資源国などから中国が大豆やトウモロコシ、銅などを大量に輸入する一方、中南米で中国製品の市場シェアが拡大している。
ロイターが取材した現職の政府高官や元高官は、米国が約束を実体的な行動に移すのが遅い一方、中国が貿易や投資で中南米地域に単純に多くを提供していると指摘する。
ペルーのカプニャイ元駐中国大使は、メキシコは例外として、「中南米にとって商業的、経済的、技術的なつながりで最も重要なのが中国であるのは間違いない。米国よりずっと上だ」と語る。
BMJコンサルトレス・アソシアドのブラジルのパートナー、ウェルバー・バラル氏によれば、中国は輸送や他のインフラにひんぱんに投資をもたらす。これが中国による穀物や金属の買い付け契約を助けるという。一方で中南米諸国の政府は、米国が口先ばかりだと感じることがよくあるという。
バイデン米大統領主催の米州首脳会議は8日、ロサンゼルスで開幕。複数の米高官によると、バイデン氏は会議で「米州パートナーシップ」計画を発表し、既存の貿易協定を増強することで地域各国のコロナ禍からの経済回復を促進することを打ち出す構えだ。投資実行や米州開発銀行(IDB)てこ入れ、再生可能エネルギー関連の雇用創出、サプライチェーン強化などを目指す内容という。
ただ、そうした努力も米国内の保護主義的な反対に遭う可能性もある。ある米当局者は「中国に現金を交渉のテーブルに載せる用意がある限り、われわれは負け戦になるように見える」と語り、米政府の巻き返しが容易ではないことを認めた。