ニュース速報

ビジネス

ロシア航空業界が孤立、ボーイングが部品・保守サポート停止

2022年03月02日(水)18時08分

米航空機大手ボーイングは1日、ロシアの航空会社への部品・メンテナンス・技術サポートを停止したと発表した。資料写真、2006年4月、シカゴの本部ビル(2022年 ロイター)

[ワシントン 1日 ロイター] - ロシアのウクライナ侵攻と西側の制裁措置を受け、米航空機大手ボーイングは1日、ロシアの航空会社への部品・メンテナンス・技術サポートを停止したと発表した。

米政府は、欧州連合(EU)とカナダに続き、ロシア航空機の米領空飛行を禁止を明らかにした。

ボーイング社の広報担当者は「紛争が続く中、当該地域の同僚の安全確保に注力している」と述べた。前日には、モスクワの訓練施設の営業停止やキエフオフィスの一時閉鎖を発表していた。

航空機メーカーやエンジンメーカー、リース業者、メンテナンス業者などは、米国や欧州連合(EU)の対ロシア制裁により同国向けの航空機リースや輸出、部品提供の禁止に直面している。

今回の制裁はイランや北朝鮮と同様にロシアの航空セクターを孤立させるものだが、ロシアは市場規模が大きく、欧米のサプライヤーへの依存度が高まっていたことから、より大きな影響を及ぼすことになる。

航空コンサルティング会社IBAによると、2021年にロシアは世界の航空輸送能力の約6%を占め、19年の約4%から拡大した。新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)時に国内市場が他国より堅調だったことが背景にある。

昨年のロシアの国内輸送能力はパンデミック前の水準を上回った。多くの東南アジアの航空会社が財務上の問題から支払いを停止したり飛行機を返却したりする一方、ロシアの航空会社はジェット機のリース契約でより信頼できる取引先と見なされていた。

<リース契約も解除へ、新規引き渡しも停止>

航空機リース会社は、ウクライナ侵攻を巡る西側諸国の制裁措置を受け、ロシア航空会社との数百機に上るリース契約を解除する見通しだ。

航空調査会社シリウムによると、ロシアの航空会社は980機の旅客機を運航しており、777機がリースされている。このうちの3分の2に当たる515機(推定市場価値100億ドル)が、外国企業からのリース機という。

EUは、航空機リース会社に対し、3月28日までにロシアでの現行契約を終了するよう求めた。

ただ、ロシアが契約解除に応じるか懸念を示す声も出ている。

IBAの幹部は、スペア部品の供給禁止もロシアの航空産業に大きな影響を与えると予測。

ロシアの航空会社は、西側諸国の航空機メーカーから新たな航空機を調達することも禁止される。ボーイングや欧州エアバスにとっては打撃となる。

ボーイングは、ロシアの主要事業全てを停止すると表明した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、6000件減の21.6万件 7

ワールド

中国、日本渡航に再警告 「侮辱や暴行で複数の負傷報

ワールド

米ロ高官のウ和平案協議の内容漏えいか、ロシア「交渉

ワールド

サルコジ元大統領の有罪確定、仏最高裁 選挙資金違法
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 5
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「世界の砂浜の半分」が今世紀末までに消える...ビー…
  • 10
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 6
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 7
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中