ニュース速報

ビジネス

米経済、人種間不平等で1990年以降51兆ドル失う=論文

2021年09月09日(木)12時09分

米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は8日、ブルッキングズ研究所で発表予定の共著論文のデータを引用し、1990年以降人種や民族間の不平等が米経済に約51兆ドルの損失をもたらしているとの見方を示した。写真はワシントンの建設現場。7月撮影。(2021年 ロイター/Gabrielle Crockett )

[8日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は8日、ブルッキングズ研究所で発表予定の共著論文のデータを引用し、1990年以降人種や民族間の不平等が米経済に約51兆ドルの損失をもたらしているとの見方を示した。

総裁は9日の論文発表に先立ち行われた記者会見で、人種間で雇用率や教育、収入の格差が依然大きく「国全体の経済のパイが小さくなっている」と指摘。「公平性を確保して格差を是正することは、道徳的課題であるだけでなく、経済的な課題でもある」と語った。

論文は、労働市場に格差がなかった場合の国内総生産(GDP)の推移を推計。米国では黒人男性の雇用率は他の人種の男性よりも常に低い。

また、黒人とヒスパニック系の労働者の所得は白人の所得水準を下回っている。

黒人やヒスパニック系の男女が白人と同じ割合で仕事に就き、白人と同じ割合で大学を卒業し、白人と同じ収入を得た場合、GDPがどの程度増えるかを試算した。

労働力だけでも1990年から2019年までの間、最大22兆9000億ドル拡大する。ここ数年は白人以外の人口が増加している一方で格差是正が進んでいないことを踏まえると、増加幅はより大きくなると見られる。

51.2兆ドルという推計値は、生産性の高い労働力がもたらす設備投資の増加が反映されており、2019年だけで2.57兆ドルが含まれているという。

論文は、デイリー総裁、スタンフォード大学大学院生のシェルビー・バックマン氏、ボストン大学大学院のリリー・サイテルマン氏、サンフランシスコ地区連銀の地域開発担当バイスプレジデント、ローラ・チョイ氏が共同で執筆した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀ピル氏、QEの国債保有「非常に低い水準」まで

ワールド

クラウドフレアで障害、数千人に影響 チャットGPT

ワールド

イスラエル首相、ガザからのハマス排除を呼びかけ 国

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中