ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-物価圧力は22年終盤生じる、利上げはその後=インドネシア中銀総裁

2021年08月02日(月)18時45分

インドネシア中央銀行のペリー・ワルジヨ総裁は2日、ロイターのオンライン・インタビューで、最近の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、インフレ圧力が生じるのは2022年終盤に後ずれするとの見通しを示した。写真はジャカルタ市内、5月撮影(2021年 ロイター/Ajeng Dinar Ulfiana)

[ジャカルタ 2日 ロイター] - インドネシア中央銀行のペリー・ワルジヨ総裁は2日、ロイターのオンライン・インタビューで、最近の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、インフレ圧力が生じるのは2022年終盤に後ずれするとの見通しを示し、インフレ圧力が生じるまで政策金利は上げられないとの認識を示した。

ワルジヨ総裁は、新型コロナの感染力の強い変異株の拡大を受け、超緩和的金融政策を修正するにはより長い期間を要すると説明。

「政策金利は長期にわたり低水準にとどまるだろう。デルタ株の拡大で景気回復スピードがやや鈍った。このため来年初めにインフレ圧力が生じることはないとみている。インフレ圧力が生じるのは来年末になる可能性がある」と述べた。

総裁がインフレ予測の変更を公表したのは初めて。

同国のインフレ率は2020年6月以降、中銀の目標レンジ(2-4%)を下回っている。7月のインフレ率は前年比1.52%だった。

総裁は、政策金利を長期にわたって据え置くことが可能であり、最初の利上げが米連邦準備理事会(FRB)の利上げ後になる可能性もあると発言。

「政策金利の変更が必要になるとすれば、早くても2022年末だ」とし、金融政策を変更する場合は、まず余剰流動性を段階的に削減すると述べた。

総裁は、現在の国内銀行の流動性を巡る状況が「超緩和的」だと発言。2022年の自身の流動性政策を「緩和的」と表現した。

緩和的な金融政策が続く中で、FRBが来年、量的緩和を縮小する可能性もある。

インドネシアの対外収支と通貨ルピアは、2013年のテーパータントラム(量的緩和縮小に伴う市場の混乱)の際に、圧力に見舞われたが、今回ははるかにうまく状況を乗り切れるはずだと総裁は発言。外貨準備が増えており、国内のノンデリバラブル・フォワード(NDF)市場を活用した為替安定化戦略も改善していると指摘した。

他の新興国がインドネシアに先立って利上げすることについては、懸念していないとし、インドネシアには、ブラジルやロシアのようなインフレの問題がないと述べた。

総裁は、金融政策に加えて、マクロプルーデンス政策や市場の深化に向けた措置など他の手段も活用し、2023年まで銀行の融資と経済活動を支援していくと表明した。

中小企業の借り入れを容易にする計画のほか、長期金利を下げるため、近く創設する中央清算機関を通じたレポ取引の拡大を奨励する計画もあるという。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

11月ショッピングセンター売上高は前年比6.2%増

ビジネス

中国の海外ブランド携帯電話出荷台数、11月は128

ワールド

日経平均は小反発、クリスマスで薄商い 売買代金は今

ワールド

タイ11月輸出、予想下回る前年比7.1%増 対米輸
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中