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英中銀、金利据え置き 委員2人が利下げ主張
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イングランド銀行(英中央銀行)は7日に開いた金融政策委員会で、政策金利を0.75%に据え置くことを決定した。2月撮影(2019年 ロイター/Hannah Mckay)
[ロンドン 7日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は7日に開いた金融政策委員会で、政策金利を0.75%に据え置くことを決定した。ただ、2人の委員が利下げを主張したほか、カーニー総裁のほか、他の委員からも世界的な景気減速や欧州連合(EU)離脱を巡る向かい風が継続する場合は利下げを検討するとの見解が示された。
ロイター調査では全会一致で金利据え置きが決定されると予想されていたが、ソーンダーズ委員とハスケル委員が利下げを主張。決定が7対2となったことで、金利先物
カーニー総裁は記者会見で、世界的な経済成長は安定化し、ジョンソン英首相がEUと合意にこぎ着けた離脱協定案は、議会承認はまだ得られていないものの、離脱を巡る不確実性の低減につながるとの見方が英中銀が描く中核的なシナリオになっていると指摘。こうしたシナリオ通りの展開になれば、英中銀はこれまでも示してきた「緩やか、かつ限定的な利上げ」を巡るスタンスを維持できると述べた。
ただ「現時点ではかなり大きな構造上の動きがみられている」と指摘。「EU離脱協定案を巡る合意を受け英経済が上向く可能性があり、英国を取り巻く環境が変化する可能性が出てきた」としたものの、「こうした回復のペースは、EUとの将来の通商関係を巡る不確実性が実際に解消するかに大きく依存する。これよりも度合いは小さいが、世界経済がどの程度上向くかにも依存する」と述べた。
英中銀は米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)に追随することなく金利据え置きを決定。ただ今回はソーンダーズ委員とハスケル委員が英国のEU離脱が決まった国民投票後の2016年8月以来、初めて利下げを主張した。
両委員は、求人件数の減少は労働市場に変化が出ていることを示唆しており、世界的な経済情勢とEU離脱問題による下方リスクの存在を示していると指摘。他の委員も、英経済情勢は3カ月前の予測からそれほど乖離していないとしながらも、状況が悪化した場合は利下げを排除しない姿勢を示した。
中銀は声明で「世界的な経済成長が安定しない場合、もしくはEU離脱を巡る不確実性が根強く継続した場合、金融政策を通して、英国の予想される経済成長とインフレを強化する必要が出てくる可能性がある」とした。
中銀は声明でこれまでも、中期的な「緩やか、かつ限定的な利上げ」について言及してきたが、この必要性について今回は「可能性がある(might)」とし、これまでの文言(would)から表現をやや和らげた。
景気見通しについては、2019年の英経済成長率は1.4%になるとし、8月の予想の1.3%から下方修正。20年は1.2%、21年は1.8%になるとし、ともに前回予想の1.3%と2.3%から引き下げた。
22年は2.0%になると予想。中銀は、この水準は長期トレンドを上回り、これによりインフレ率は中銀が目標とする2%を上回る水準に押し上げられるとの見方を示した。
現在1.7%にあるインフレ率については、来年の年央に1.2%に低下すると予想。原油安と電気、水道代の上限設定などが影響するとした。
今回は2人の金融政策委員が利下げを主張したものの、コメルツ銀行のエコノミスト、ピーター・ディクソン氏は、近い将来に過半数の委員が利下げを支持するとは予想していないと指摘。「何かがうまく行かなかった場合、中銀はあらゆる手段を行使する必要があるため、英国が実際にEUを離脱するのか、離脱するならいつになるのか、明確になるまで(政策変更を)温存するのは理にかなう」と述べた。
一方、PwCのエコノミスト、ジョン・ハウクスワース氏は、「金融政策委員会は少なくとも短期的には成長に対する下方リスクを懸念を深めており、こうしたリスクが現実のものとなった場合は利下げに踏み切る用意があるようにみえる」と述べた。
*内容を追加しました。