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欧州委、ユーロ圏成長率予想引き下げ 貿易摩擦や地政学リスク
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11月7日、欧州連合(EU)の欧州委員会は、世界的な貿易摩擦や地政学的緊張、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を要因に、今年と来年のユーロ圏の成長率予想を下方修正した。フランクフルトのECB本部で2018年4月撮影(2019年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[ブリュッセル 7日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は7日、世界的な貿易摩擦や地政学的緊張、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を要因に、今年と来年のユーロ圏の成長率予想を下方修正した。
欧州委は、2019年の成長率を1.1%と、7月時点の予想(1.2%)から下方修正。20年と21年も1.4%から1.2%に引き下げた。
ドムブロフスキス副委員長は「経済成長は持続しており、雇用創出も活発で内需は旺盛だ。しかし、この先、難局に直面する可能性がある。貿易摩擦、地政学的緊張の高まり、製造業低迷の継続、ブレグジットに関連した不確実性の高い期間だ」と述べた。
そのうえで「高水準の公的債務を抱えるEU加盟国には堅実な財政政策を実行し債務を減少軌道に乗せるよう要請する。財政的に余裕がある加盟国はいま財政出動すべきだ」と主張した。
ユーロ圏全体の財政赤字は、2018年は対GDP比0.5%と歴史的な低水準だったが、政策の変更がないという前提で19年は0.8%、20年0.9%、21年1.0%と上昇していくと予想。
ただドイツとオランダは財政黒字を維持し、公的債務が少ない。
ドイツの財政黒字は今年が対GDP比1.2%、20年が0.6%、オランダは今年が1.5%、来年は0.5%と欧州委は予想した。
成長減速にもかかわらず、ユーロ圏全体の公的債務の対GDP比率は低下が見込まれ、今年が86.4%、20年85.1%、21年84.1%と予想した。
インフレ率は、今年と来年が1.2%、21年が1.3%と、欧州中央銀行(ECB)の目標である2%弱を大きく下回る見通し。
欧州委は「今年のインフレ率が低下は、エネルギー価格の下落と、企業が人件費の上昇を顧客に転嫁せず、利益率(を低下させて)吸収しているためだ」と指摘。「インフレ圧力は今後2年間、抑制されると予想する」とした。