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フィアットとPSAの統合合意、欧州の労組が雇用への影響懸念
10月31日、経営統合で基本合意した自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)
[パリ/ミラノ 31日 ロイター] - 経営統合で基本合意した自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)
PSAとFCAは31日、対等合併に向けた作業を進めることで合意したと発表した。経営統合が実現すれば、世界4位の自動車メーカーが誕生する。[nL3N27G35E]
独最大の労組IGメタルは、PSAが2年前に買収した独オペルの自主独立経営の維持を求めると表明。
PSAとFCAは、経営統合に伴う工場閉鎖は計画していないほか、現在の取り決めでは2023年半ばまではオペルの従業員を解雇する可能性はないとしている。
ただ、アナリストは両社の欧州の工場はブランドの重複や一部の稼動率が低いという問題があるため、見直しの目が向けられると予想する。
FCAのイタリアにある低稼働の工場は約5万8000人の従業員を抱えており、同社全体の社員の4分の1以上を占める。
オペルが本社を構える独ヘッセン州のフォルカー・ブフィエ首相は「PSAがオペルとその研究開発センターを維持し、(オペル本社がある)リュッセルスハイム工場に投資するよう期待する」と述べた。
オペルは2019年上期に18年ぶりに黒字化を達成。ただ、同社のセダン「インシグニア」の販売不振を受け、リュッセルスハイム工場は今年、生産台数を6万8000台に半減させ、労働時間の短縮も開始しているため、現在の従業員数を維持する必要性について疑問が浮上している。
英最大の労組ユナイトは、今回の経営統合合意と英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感は従業員を「非常に不安にしている」と訴えた。
PSAは英国内の2カ所に工場がある。
イタリアの大手労組の1つ、FIOM(勤続労働者組合)・CGIL(労働総同盟)の自動車部門従業員責任者、ミケーレ・デパルマ氏はロイターに「FCAとPSAの統合の可能性については、日産・ルノーの統合の時に比べて2倍の懸念がある。FCAのイタリア工場の先行きを案じている」と述べた。
また、FIOM・CGILとフランスの労組、CGT(労働総同盟)は31日出した発表文で、従業員や労組に相談せずに両社が統合交渉を進めると決定したことは「受け入れられない」と表明。両労組が協力して欧州域内の雇用や研究開発および生産施設を守ると表明した。