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ヘッジ外債は通貨分散、円高局面でオープンも=18年度・住友生命運用計画
4月25日、住友生命保険は、2018年度の資産運用計画で、為替ヘッジ付き外国債券への投資についてはドル以外の通貨への分散を進める方針を示した。写真は同社のロゴ。2009年8月に東京本社で撮影(2018年 ロイター)
[東京 25日 ロイター] - 住友生命保険は25日、2018年度の資産運用計画で、為替ヘッジ付き外国債券への投資では米ドル以外の通貨への分散を進める方針を示した。大幅にドル安/円高が進む局面では、為替リスクをとったオープン外債への投資を拡大する。
18年度のニューマネーは5000億円前後を見込む。17年度の1兆9100億円から大きく減るが「保険の販売などで相当振れるので(現時点の)イメージ」(松本氏)だと、会見した上席執行役員兼運用企画部長の松本巌氏は述べた。内外公社債や外国株式をそれぞれ増やしていく考えだという。
ヘッジ外債で分散投資を進めるのはドル/円のヘッジコストが上昇しているためで「ユーロを中心に積み増していきたい」と松本氏は説明した。
欧州債で為替ヘッジを行うと「足元で0.2%程度(金利の)受け取りになるので、ヘッジ付き外債は欧州にシフトしている状況」(松本氏)という。とりわけフランスやイタリア、スペインに投資し「フランスは10年を超える債券にも問題なく投資できる」(同)とみている。
事業債投資でも、米国だけでなく欧州社債市場も含め信用力の高い銘柄に投資する方針を示した。米国の中堅生保子会社であるシメトラ・ファイナンシャルによる銘柄選別の目利き力を生かす。
17年度の外国債券は公社債が1兆3800億円の純増で、このうち8割がヘッジ、残る2割がオープンだった。通貨別では、ドルが3割、ユーロが6割、残る1割はオセアニア通貨などとなった。オープン外債は、ほとんどが米ドル。ヘッジ外債のうちドルでの投資は「スプレッドの乗ったものでないと、なかなかヘッジコストが賄えない」(松本氏)ため、大半が事業債投資だったという。
為替は年度末に1ドル109円を想定している。国内金利は、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)により水準があまり変わらない一方、米国では利上げに伴って短期金利を中心に上昇していくと見込み、日米金利差を背景にドル/円はしっかりと推移すると予想している。
オープン外債は基本的に増加させる方向だが、為替水準次第だとしている。ドル/円のレンジは100─120円を想定しており、松本氏は会見後に記者団に対し「(オープン外債は)105円より下ではしっかり増やしたい」と述べた。
外部委託を活用し、外国社債投信やプライベートエクイティなどを含むファンドへの投資を拡大し、外国株式への投資も増やす考えだ。
国内債券は、低金利継続を見込んで超長期債への投資を引き続き抑制する。18年度末の10年国債利回りは0.05%とほぼ横ばいを想定。物価は緩やかに上昇して年度末には1%程度になると見込むが、それでも日銀が目標とする2%達成は見通せないため長期金利の操作目標は据え置かれ、金利は低位でのもみあいが継続すると予想している。
もっとも、18年度は国内債券の増加を見込んでいる。金利上昇局面では、超長期債への入れ替えを積み増すなどALM(資産負債管理)を推進する。「インフレ率が2%に達しなくても1%程度で定着してくるようなら、ある程度の金利の振れを容認する可能性がある」(松本氏)とみており、20年債では難しくても、30年債利回りで1%を若干、超える水準は考えられるとした。
国内株は、2月以降に急落する場面があったが、同社はその前後でいったんポジションを落としたという。基本的には内外を通じてファンダメンタルズに大きな変化は起きてないとみており、堅調なマクロ経済を背景に、年度の前半は上昇基調を見込む。
ただ、夏場以降、年末にかけては、景気拡大に徐々に疑問符が付いてくる可能性があると想定。国内株への投資は、年内にあと3回見込まれる米利上げが世界経済に悪影響を及ぼさないかを見極めながらの判断になるとした。
◎2018年度の見通し(レンジ、年度末)。▼はマイナス。
日本国債10年物利回り ▼0.10─0.20%(年度末0.05%)
米10年債利回り 2.30─3.30%(同2.80%)
日経平均 19000─27500円(同23500円)
米ダウ 21500─28000ドル(同26000ドル)
ドル/円 100―120円(同109円)
ユーロ/円 125―150円(同140円)
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