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インタビュー:米国株に強気、足元の下落局面で買い増し=米PGI

4月10日、米資産運用大手プリンシパル・グローバル・インベスターズ(PGI)のジム・マコーガン最高経営責任者(写真)は、ロイターとのインタビューで、米国株への強気スタンスを維持しており、足元の株安局面を捉えて買い増していることを明らかにした。2016年12月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 10日 ロイター] - 米資産運用大手プリンシパル・グローバル・インベスターズ(PGI)のジム・マコーガン最高経営責任者(CEO)は、ロイターとのインタビューで、米国株への強気スタンスを維持しており、足元の株安局面を捉えて買い増していることを明らかにした。
プリンシパル・グローバル・インベスターズはアイオワ州デモインに本拠を置く資産運用会社で、12月末時点の運用資産残高は4540億ドル(約49兆円)。
インタビューは同氏が来日した9日、東京で行った。概要は以下の通り。
──米中の貿易問題などに、市場が一喜一憂する日々が続いている。
「メインシナリオとしては、(中国から)一定の譲歩を引き出しつつ、面子(めんつ)を保てるような妥協が図られ、双方が勝利宣言を行うような結末を想定している。貿易戦争という事態とはならない確率は70─80%とみている」
「とはいえ、これは大変危うい状況だ。通常、テールリスクと言えば発生確率が5%未満のものだが、現在は、リスクシナリオが実現してしまう確率が20─30%もある状況だ。非常に大きく増幅したマイナス面のテールリスクが存在していると言える」
「この20─30%は、米中が貿易戦争に発展する確率のほか、朝鮮半島問題やイランなども含めての話だ。貿易戦争であれ、軍事衝突であれ、人的な被害を別にして、サプライチェーンの断絶・混乱などを通じて経済に与える被害も大きい」
──そういった環境下での投資戦略は。
「リスクシナリオに対するヘッジを若干増やしてはいるが、特段の投資判断変更は行っていない。当社では米国株式をもう数年にわたって強気判断しており、その戦略はリターンの果実を結んできたが、それを引き続き維持する。特に中小型株を選好している」
「われわれはメインシナリオとして、米国経済は向こう3年程度、年2─3%のペースで経済成長し、失業率はさらに低下、労働参加率は上昇、インフレは2%近辺にとどまると予想している。株価は上昇し、金利は現在ある水準からさほど動かないだろう。米連邦準備理事会(FRB)による利上げは、市場コンセンサスより少なく年内あと1回だけ、また1年後の米10年国債利回り
「ただ、前述の通りテールリスクが通常より増幅していることから、ポートフォリオの管理が難しくなっているのは事実だ。われわれの米国株式に対する確信度は高いが、その一方で、分散を進めている。たとえば貿易戦争のリスクを全てヘッジすることはできないが、資産分散はやはり万一の際の緩衝材として機能し得る」
「当社のメインシナリオはある意味、昨年までの延長のようなマーケットと言える。ただし違う点もある。市場にボラティリティーが戻ってきたことだ。過去10年と比べるとここ数カ月のマーケットは変動率が大きいが、1980年代・90年代は1日に1%相場が動く日は決して珍しくなかった。ボラタイルな相場は今後も続くだろう」
「こうしたボラティリティーの高い相場環境を活用するには、ポートフォリオのリバランスが重要だ。それは、株価の上昇局面では買い、下落局面で売るという投資行動になる。実際、われわれは最近米国株が下落した複数の局面で買い手となった」
*写真とカテゴリーを追加しました。
(インタビュアー:植竹知子 編集:伊賀大記)