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仮想通貨、金銭として機能せず=英中銀総裁

2018年03月03日(土)02時57分

 3月2日、イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁(写真)は、仮想通貨について、金銭としては失敗しており、金融バブル形成の古典的な兆候を示していると指摘。(2018年 ロイター/Peter Nicholls)

[ロンドン 2日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は2日、仮想通貨について、金銭としては機能しておらず、金融バブルの明らかな兆候があると指摘した。

ただ仮想通貨で採用される技術が将来的には金融システムを改善する可能性もあると付け加えた。経済関連のカンファレンスで講演した。

規制当局者らは一様に、仮想通貨の普及に懸念を示している。カーニー総裁もこうした声に賛同し、仮想通貨の違法行為を防止するほか、他の資産と同じように扱うためには新たな規制が必要だとの見解を述べた。仮想通貨の人気は急上昇しているものの、現金やカードの代わりにはならないと強調した。

「仮想通貨はせいぜい、限られた範囲で一部の人々にとってのみ金銭のように作用するが、その場合にも、伝統的な通貨と一緒に使われなければならない。簡単に言えば、機能していない」と述べた。

仮想通貨で最もよく知られるビットコインの価値は、2017年初めの約1000ドルから12月中旬には2万ドル近くへ急上昇した。その後、18年2月に6000ドル以下に急落し、今は持ち直しつつある。

総裁は、仮想通貨は金融システムのリスクにはなっていないとし、禁止は求めていないと説明した上で、金融システム内の他の商品と同様に規制される必要があると述べた。

カーニー総裁は、仮想通貨に投資する傾向のある若者は、07-09年の金融危機前にみられた市場のバブルをそれほど認識していないのだろうと発言。「多くの仮想通貨が典型的なバブルの特徴をみせている」と警告した。

一方、仮想通貨で採用される分散台帳技術は、現金決済やその他の取引を改善することができると述べた。「現世代で達成できることではなくとも、仮想通貨が現在の決済システムに対抗していることは事実だ。仮想通貨は今、完全に信頼できるリアルタイムの分散型取引手段に進化する必要がある」と述べた。分散台帳技術はまた、税金や診療記録、企業のサプライチェーンとしても使えると発言。ただその場合、中央銀行が仮想通貨を管理する必要があると付け加えた。

今月アルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では仮想通貨が議題に上る可能性が高い。

*内容を追加して再送します。

ロイター
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