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米FRBが25bpの利上げ決定、来年の引き締めペースは減速

2018年12月20日(木)08時38分

[ワシントン 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は19日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25─2.50%に25ベーシスポイント(bp)引き上げることを決定した。利上げは予想通り。

FRBが示した2019年の利上げ回数の見通しは2回。9月に示した前回見通しの3回から減少したことで、市場のボラティリティーが高まり、世界的な成長が鈍化する中、FRBの引き締めサイクルが終盤に差し掛かっている可能性があることが示唆された。

金利先物市場が織り込む来年の利上げ回数はゼロとなっている。

FRBはFOMC声明で「11月のFOMC以降に入手した情報は、労働市場が引き締まり続け、経済活動が力強い速度(at a strong rate)で拡大していることを示している」と指摘。ただ、「いくらかのさらなる緩やかな(some further gradual increases)」利上げが必要になるとし、前回の声明から文言を若干修正。FRBが利上げ休止に向け準備している可能性があることが示唆された。

また「経済見通しへのリスクはおおむね均衡しているとみられる」としたものの、「世界経済と金融の動向を引き続き監視し、経済見通しへの影響を評価する(will continue to monitor global economic and financial developments and assess their implications for the economic outlook)」とし、世界的な経済、金融情勢を注視し続け、これらが経済見通しにどのような影響を及ぼすか検証するとの姿勢も示した。

今回利上げは今年に入ってから4回目。決定は全会一致だった。 トランプ米大統領はこれまでも繰り返しFRBの金融引き締め策を批判。今回の利上げにも不満を示す可能性がある。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、「バランスシートの縮小は円滑に進んでおり、目的を達していると考えている。これについてFRBが何かを変更することはないとみている」と述べ、バランスシートを毎月500億ドルのぺースで今後も縮小し続ける方針を表明。

FRBはこれまでも長らくこうした方針を表明してきたが、パウエル議長のバランスシートに関する発言を受け、米株価が下落するなどの動きが出た。

FRBがバランスシートの縮小を毎月継続することで、金利に上昇圧力がかかる。トランプ大統領はFRBに縮小を停止するよう、今週に入ってから呼び掛けていた。

FRBはこのほか今回のFOMCで、超過準備への付利(IOER)を20bp引き上げることも決定。引き上げは予想通りだった。

FRBが示した最新の経済見通しによると、今後の利上げ回数の予想は19年が2回、20年が1回。20年末と21年末のFF金利誘導目標の予想中央値は3.1%となった。これに基づくと、金利は政策担当者が中立金利と見なす2.8%を若干上回ることになる。

このほか経済成長率は19年は2.3%、20年は2.0%になると予想。19年については前回の2.5%から下方修正となる。

失業率は19年は3.5%になるとし、前回予想を据え置き。20年は3.6%、21年は3.8%になるとし、ともに前回から若干上方修正した。失業率は現在3.7%と、49年ぶりの低水準にある。

インフレ率については19年は1.9%とし、前回の2.0%からやや引き下げた。

*内容を追加します。

ロイター
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