コラム

株式市場には3匹の動物がいる。投資で失敗しないコツとは?

2021年07月14日(水)17時25分
藤野英人

「お金のまなびば!」より

<株式市場において、一生価値が下がらない商品は存在するのだろうか。「絶対に投資で失敗したくない」と思っている人ほど陥りやすい、ひふみ投信の藤野氏が指摘する「株式市場のカモ」の特徴とは>

ひふみ投信シリーズのファンドマネージャーである藤野英人氏と、お金や投資、経済について学んでいくYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」

今回取り上げる動画は、「【1000人アンケート①】投資で失敗した原因は?失敗しないコツ」

投資には失敗がつきもので、ファンドマネージャーとして活躍する藤野氏のもとには、投資家からさまざまな嘆きの声が届く。

そこで、誰もが知りたいのが「投資で失敗しないコツはあるのか」ということ。1000人にアンケートを取ったというこの動画でも、「株で損をした」「金融商品が元本割れ」といった回答が並び、「失敗しないコツ」への関心の高さがうかがえる。

本題に入る前に、藤野氏は、株式市場に生息する3匹の動物の話をする。

藤野氏によると、そのうち2匹は牛と熊。株式相場が強気に傾いているか、弱気に傾いているかを表す際に「ブル・ベア」という言葉が使われるが、日本語に訳すとブルは牛(雄牛)、ベアは熊だ。

ニューヨーク証券取引所付近にある巨大な雄牛の銅像は、1987年の株価大暴落(ブラックマンデー)を乗り越えたアメリカ国民の強さを象徴するものとして造られた。なぜなら、牛は敵を攻撃するときに頭を下から上に突き上げるので、「強気」や「勝利」、「株の上昇」を意味するからだ。

一方、熊は手を上から下に振り下ろして戦うことから、「弱気」「株の下落」の象徴として用いられる。

それでは、気になる最後の一匹は?

答えは、カモ。弱そうに見える人につけ込んでお金を巻き上げることを日本語で「カモにする」と言うが、これはカモが捕まえやすい動物であることが由来する。藤野氏によれば、欧米でもカモ(duck)には同じような意味がある。

「株式市場には牛が10%、熊が10%、カモが80%いると言われている。3匹の動物の中でカモにならないことが大事で、そのために必要なのは自分の頭で考えることだ」

投資の失敗例として多いのは、銀行や証券会社の言いなりになってしまったり、複数の投資家の意見を取り入れようとしたりして、自分のスタイルや最終的なゴールを見失うこと。

「信念を持たないで人の言うことに左右されてしまう人は結果的にカモになる。株式市場でエサにされてしまう」と、藤野氏は指摘する。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=続伸、マグニフィセント7などの決算に

ビジネス

NY外為市場=円、対ユーロで16年ぶり安値 対ドル

ビジネス

米テスラ、新型モデル発売前倒しへ 株価急伸 四半期

ワールド

原油先物、1ドル上昇 米ドル指数が1週間ぶり安値
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story