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コラム
池上彰Newsweek斜め読み
共和党はヘンな候補が続出!?
来年のアメリカ大統領選挙に向け、共和党の候補者選びが始まりました。現職のオバマ大統領に挑戦する候補者を正式に選出するのは来年夏の共和党大会ですが、その前に各地で開かれる党員集会や予備選挙で大会代議員を獲得する必要があります。
その党員集会が全米で最初に開かれるのが、アイオワ州。来年2月です。でも、それを前に、共和党の正式候補になろうと意欲(野心?)を燃やす政治家たちが、続々と名乗りを上げ、早くもアイオワ州で支持を固めようとしています。
8月14日にアイオワ州に姿を現したのが、現テキサス州知事のリック・ペイリー。その様子を、本誌日本版8月31日号は、こう表現しています(「大統領の座を狙うペリーの超単純思考」)。
「ペリーが勢いを得る可能性は十分にありそうだ。14日のパーティーでの態度は、選挙の戦い方を熟知した政治家の振る舞いだった。彼は出席者たちの顔をしっかり見ながら、時に抱きつかんばかりの様子で話をした」。
おっと、ちょっとした政治家なら、誰だってする態度ですよ。日本の国会議員だって、この程度のことはするのだから。
それはともかく、ペリーの言い分を聞いていると、不安になるのは確かです。FRBのバーナンキ議長の金融緩和政策を非難し、教育問題に関しては、「あなたの子供の教育に、連邦政府が口を挟むべきでないと思う」と言い切ったそうですから。どうも教育政策は存在しないらしい。みんな勝手にわが子を教育すればいい、というわけです。
ここには書いてありませんが、ペリーは、「進化論」を否定する発言もしています。この世は神が創造し、人間も神が創ったのだから、サルの仲間が進化したなどという理論はたわごとだ、という立場です。
ペリーの前に立ちはだかるのは、ミッシェル・バックマン下院議員。やはりアイオワ州で遊説を展開しました。オバマ政権で成立した医療保険制度を撤回することを求めています。「人々が汗水流して稼いだカネは、愚かな官僚たちの手に委ねられるのではなく、働いた人々の手許にもっとたくさん残るようになる----」(同誌「茶会の女王バックマンの実力」)。
つまりは、連邦政府を縮小し、支出も削減。減税すべきだというわけです。
こんな簡単な処方箋で世の中が解決すれば、苦労はいらないのですが、ひたすら単純で明快な発言(迷言?)で、有権者の心を掴む。ポピュリストぶりの競争になっています。
でもねえ、こんな候補ばかりでは、アメリカの政治はどうなってしまうのでしょうかねえ。なに? アメリカの心配をする前に日本の政治を心配しろって? おっしゃる通りです・・・。
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