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コラム
池上彰Newsweek斜め読み
今の英国は半年前の日本だ
政権与党に人気がなく、首相も頼りない。だからといって野党にさして魅力があるわけではないが、今の与党よりはマシだから、次の選挙では野党に投票してみようか。でも、新政権は、過去の政権がのこした史上最悪の財政赤字を引き継ぐことになる...。
まるで、この夏前の日本の政治状況のようですが、これが今のイギリスだそうです。本誌日本版11月4日号の「英保守党の暗すぎる船出」は、そんな状況を描いています。
イギリス下院の任期は来年6月に切れるため、それまでに必ず総選挙が実施されます。野党である保守党の支持率は、与党・労働党に対して支持率で10ポイントを超えるリードを保っています。
しかし、それは保守党に魅力があるからではなく、与党の労働党が不人気だからです。「最近の世論調査では、保守党に投票するつもりだという有権者のうち、党に『肯定的な』イメージを持っているのはわずか32%」なんだそうです。
どうですか。「保守党」を民主党に、「労働党」を自民党に置き換えて読めば、まるで半年前の日本の政治状況のようではありませんか。
保守党のキャメロン党首が来年中にはイギリスの新しい首相に就任するのは確実でも、「来年の総選挙で保守党が確保する議席の最大3分の1は新人議員になる見込みだ」と。今の民主党そのものではありませんか。
しかし、キャメロンには強みもあるそうです。それは、何か。
「彼には現代の首相に求められる資質がたくさんある。聡明で、好感が持て、テレビ映りがよく、名家の育ちと名門(中略)大学時代に培われた自信がある。家庭人というイメージ戦略も怠らない」
どうですか。鳩山由紀夫首相とイメージがだぶりませんか。
でも、キャメロン党首に対する批判もあります。いわく「いまだに独自の外交政策を詳細にしめさず」
どうですか。どこぞの党を彷彿とさせませんか。
こうなると、イギリスの人々には、今の日本の政治を見ることをお勧めしたくなりますね。今の日本は、来年のイギリスを予見するようなものだからです。
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