航空会社が路線や便数を自由に設定できる「オープンスカイ」協定を締結することで、日米政府が11日に合意した。協定は羽田空港の第4滑走路の供用が開始される来年10月までに実施される予定で、これによって海外の航空会社が日本の国内線にも就航できるようになり、内外を問わない競争で航空運賃が下がることが期待できる。
航空自由化は、いま問題になっている日本航空(JAL)の経営問題にも関連がある。JALが経営破綻したり全日空に買収されたりして、日本の大手航空会社が1社だけになると独禁法上の問題が生じ、飛行機の飛ばなくなる地方空港が出る、というのが国交省がJALを延命する理由だった。しかし自由化によって海外の格安航空会社(LCC)が国内線に参入し、JALの代わりにLCCが地方空港を発着する可能性もある。
その場合、ボトルネックになるのは羽田空港の発着枠だ。当面は国際線は日米4便に限定し、深夜早朝に割り当てる予定だが、羽田が「ハブ空港」になるためには、国内・国際ふくめた自由な参入が必要である。その一つの方法として、発着枠に市場メカニズムを導入することが考えられる。枠ごとに入札を行ない、航空会社のオークションによって最高値を出した会社がその枠を購入し、他の航空会社に貸したり転売したりすることも自由とするのだ。
発着枠の取引は、アメリカでは1980年代からケネディ空港(ニューヨーク)、ナショナル空港(ワシントン)、オヘア空港(シカゴ)などで実施されている。オークションも今年から導入される予定だったが、航空会社の異議申し立てで延期されている。これまでの経験では、市場メカニズムは新規参入を促進する効果はあるが、大手が高値で買い占めるなどの反競争的行動を誘発するリスクもあり、慎重な運用が必要だろう。
しかし今のように国交省の航空局が裁量的に割り当てる方式では、国内の既存航空会社に片寄った配分が行なわれ、LCCのような海外の中小事業者に割り当てられる可能性はほとんどない。また国別の配分が政治的な交渉の材料となり、声の大きい国の航空会社に多く配分される傾向が強い。前原国交相の提唱する「観光立国」のためには、競争によって航空運賃を下げることが重要だ。市場メカニズムで新規参入を容易にする制度設計は、成長戦略のモデルともなろう。