田中 そうなると、今までのようなお祭りとか伝統芸能じゃなくて、何か新しいものが出てくる可能性がありますよね。
佐々木 ありますね。
藤森 大事なのは人のつながりだから、もうちょっとゆるいかたちの関係もあり得るね。
御厨 私の住んでいる世田谷区の等々力や尾山台地域でも、区立小学校ではいま生徒数が増えているんですよ。地域の学校を中心におやじの会ができたりしています。おやじの会がやりたいのは何かというとお祭り。
先ほど女性が支えているという話がありましたが、学校のPTAはどうやら結構おやじが支えているらしい。そういうことがあると東京は変わる。
田中 面白い現象ですね、それは。一昔前、いったん巨大団地に入ると、そこからは何も生まれてこないという時代がありましたが、皆さんがもっと気軽にいろんな活動をできるような空気づくり、環境づくりも必要でしょうね。
御厨 いま区民農園が流行っている。自分たちが食べるものぐらい作ろうといって作る。大根なんか作ったら一挙にいっぱいできちゃうから、ご近所に配らなきゃならない。そういうところから交流が始まっていくのをこの目で見ています。だから大丈夫。
藤森 大丈夫(笑)。
田中 地域文化としての農園。そうすると、推薦する方たちにも新しいまなざしを持っていただく努力が必要ですね。
佐々木 そして、推薦された候補の中に、新しい角度で光を当てて面白くなりそうなものを率先して見つけていく。そうすれば次の年の推薦につなげていけますね。
藤森 そういう優れたアンテナを持つ人って、どこにいるのかな。どこかにいそうな気がする。そういうことを一生懸命やっているような大学って、特に地方にありますよね。
田中 地域文化研究所のようなものを持っている大学はありますね。どこで何をやっているか調べて、働きかけたり連携したりすれば。
御厨 辞めていかれる方は気楽でいいですが、宿題がどんどん出されている感じですね(笑)。とはいえ、こちらから何らかの働きかけをすることは必要でしょうね。
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