エネルギー新時代
液化石炭からトリウム原発まで「ポスト原発」の世界を変える技術
バイオ燃料にはないメリット
世界のエネルギー消費大国の多くは石炭の豊富な国でもあるため、南アの成功はよいお手本になる。「液化石炭が完全に石油に取って代わることはないが、中国、インド、アメリカのような国には大きな救いになりうる」と、サソールのパット・デービーズCEO(最高経営責任者)は言う。
アメリカは石炭の埋蔵量世界一で、少なくともあと100年は国のエネルギー需要を石炭でまかなえる。ロシア、中国、インドの状況もアメリカに近い。石炭推進派によれば、ベンチャー投資家の注目を集めているバイオ燃料よりも石炭のほうがはるかに手に入りやすく、効率的な代替燃料となる。
古いCTL工場は大気汚染の元凶だが、最新の工場はほぼ例外なく環境面では優等生だ。製造工程で排出される二酸化炭素を回収・隔離し、地下に封じ込める技術が確立されている。これを使えば、液化石炭はガソリンより約30%もクリーンな燃料となる。石油に追いやられた石炭が「新エネルギー」に生まれ変わりはじめた。