エネルギー新時代
液化石炭からトリウム原発まで「ポスト原発」の世界を変える技術
地下水の汚染を懸念する声
地球温暖化防止のための京都議定書には、途上国のクリーン発電を促すための奨励策が盛り込んである。途上国で温室効果ガス排出量を削減する事業に投資した先進国は、事業に対して発行されるクレジット(排出削減枠)を自国の削減目標達成に使うことができる。
しかし、スタンフォード大学国際研究所のマイケル・ワラ研究員の最新研究によれば、これまで発行されたクレジットのほとんどはCO2以外のガスの削減に対するもの。現行の制度では、発電所が排出する二酸化炭素よりもフロンやメタンガスの削減が重視されるからだ。制度の大幅な見直しが必要だと、ワラは指摘する。
問題はほかにもある。ドイツの電力会社RWEのミヒャエル・フビ気候保全担当副社長によれば、二酸化炭素の永久的な地中貯留は「法的な枠組みがない」うえ、地下水汚染などへの懸念から論議を呼ぶおそれがある。
それでもRWEは14年までに自前の二酸化炭素回収型の原型プラント稼働をめざしていると、フビは言う。「20年以降は欧州各国が同じ方向へ向かうだろう」
運がよければ中国もそうなる。中国は20年以内に、アメリカを抜いて最大の温室効果ガス排出国になるとみられている。だがフューチャージェン計画にも参加しており、クリーンな石炭利用に本気で取り組むはず。毎週平均1カ所の発電所が稼働を始める中国で、方針転換が早すぎることはない。