広大な砂漠地帯の中に、SF映画に登場するような建造物が突然姿を見せる。米カリフォルニア州のモハベ砂漠で建設が進められている、アイバンパ太陽光発電システムだ。
写真家のジェイミー・スティリングスは建設が始まった10年末から、この土地の変わりゆく景色を空撮してきた。一連の写真からは石炭や石油、原子力に頼ったエネルギー政策から、再生可能エネルギーへの転換を目指す人類と、地球との関わりを考える上での重要なヒントが見えてくる。
来年の完成時には、アイバンパは世界最大の太陽光発電所になる。地表に並べられた約17万枚のヘリオスタットと呼ばれる鏡が3つの塔の上部に設置された集熱器に向けて太陽光を反射し、392㍋㍗を発電。アメリカの14万世帯が使用する電力を賄うことができるという。
こうしたプロジェクトの最終的な目的は、地球環境を守ることにある。一方で、自然の中にこれほど大規模な人工建造物を造ることが正しいのかどうか、意見は分かれる。
この施設が人類の明るい未来への足掛かりになるのか。その答えはまだ見つからない。
Photographs by Jamey Stillings
<2012年12月5日号掲載>