その日は多くの人々にとって、ごくありふれた一日だったかもしれない。いつもどおり家事をこなし、満員電車に揺られ、家族と言葉を交わす......。
今年、世界中の人々の「5月15日」を写真に記録し、ネット上に集めようというドキュメンタリー写真プロジェクト「ア・デイ・org」が行われた。日常の風景を参加者がそれぞれの視点でカメラに収め、言語や文化を超えて共有しようと、スウェーデンの非営利財団エクスプレッションズ・オブ・ヒューマンカインドが主催した。
集まった写真は165カ国から約10万枚。ある人は生活感あふれるキッチンを写し、ある人はその日生まれた赤ちゃんを抱いてほほ笑む。それらは決してニュースを飾ることのない、生き生きとした日常の記録だ。10月8日にはニューヨークのタイムズスクエアをはじめ、世界22カ国 85.733もの野外デジタルスクリーンでスライドショーが展開された。
ヴァージングループ創業者でプロジェクトの顧問を務めたリチャード・ブランソンは「ある一日の歴史的な記録であると同時に、人々の生活の驚くべき多様さを示す壮大な物語でもある」と語り、ノーベル平和賞受賞者のデズモンド・ツツは写真集の前文で「写真はお互いを見てお互いを理解するツールであり、より良い世界にするための可能性を生み出すものだ」と述べた。厳選された作品は写真集に収められ、アメリカ、スウェーデン、スペインなど9カ国で順次刊行されている。
関連リンク:
A Day.org
写真集「A Day in the World」
展覧会(11月10日からストックホルムのクルトゥールヒューセットを皮切りに世界各地へ巡回予定)
ーー編集部・片岡英子