残酷な悲劇を伝えたあの写真
注)スライドショーの一部に衝撃的な写真が含まれます
昨年8月の米タイム誌の表紙に、ある少女の写真が掲載された。鼻を切り落とされた傷痕が生々しく残るその姿は世界に衝撃を与えた。しかし、表紙に「私たちがアフガニスタンを去るとこうなる」と書かれていたこともあり、被写体の不幸がオバマ米大統領の軍事政策のプロパガンダに利用されたとの批判も巻き起こった。
その半年後、この写真は世界報道写真大賞を受賞したことで再び注目を集めた。大賞が批判と称賛を同時に浴びるのは毎年のことだが、今年も秀逸な写真がそろっていたハイチ地震の作品から選ばれなかったことに疑問の声も上がった。
だが少女の写真に、一瞬で目に焼き付く強烈な力があるのは間違いない。審査委員長のデービッド・バーネットは「誰かに『あの少女の写真』と言われれば、すぐに思い浮かぶような、一生の間に出合える10枚のうちの1枚になり得る写真だ」と評価する。
少女が受けた許されざる暴力は今、タイム誌の呪縛から離れてあらためて世界に告発された。この作品を含む入賞作品約200点を展示した『世界報道写真展2011』は、東京都写真美術館で6月11日から8月7日まで開催される(その後大阪・京都などを巡回)。
---片岡英子(本誌フォトディレクター╱世界報道写真コンテスト2010審査員)
世界報道写真(World Press Photo)財団
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