2012年5月発行の『アステイオン』76号では、「今、何が問題か」を特集テーマに、新たに発足した編集委員会のメンバー全員が論考を寄せた。 ほぼ10年たった今。編集委員会を再編成したのを機会に、再び「今、何が問題か」を新旧の編集委員の全員が語ることで、改めて「今」を問いたい。
目次
【特集】
- 巻頭言田所昌幸
- 品位ある社会の構築に向けて中西寬
- 中国の問題、中国という問題 岡本隆司
- 言と行、言と文――二重の不一致について武田 徹
- 通貨と実体経済の異常な関係――ポスト・コロナにインフレの種土居丈朗
- 疾走する技術に引き裂かれた社会と文化の行方張 競
- 未来を失ったわれわれの希望――「心地よい停滞」のあとに田所昌幸
- 文系と「価値」、文系の「価値」苅部 直
- 専門知の居場所待鳥聡史
- 歴史としての中東問題池内 恵
- 「インド太平洋の世紀」に細谷雄一
【論考】
- 西太平洋連合を構想する北岡伸一
- 民主主義をめぐる「トランプのジレンマ」渡辺将人
- 危機管理としての日本のコロナ対応相良祥之
【世界の思潮】
- 牛疫との闘いに見るウイルス制覇のヒント詫摩佳代
- 香港デモの語れない話を語る安田峰俊
- 印中国境問題――深層を読み解くためのチベット・ファクター笠井亮平
- 弱き者よ、汝の名は白人男性作家なり?野崎 歓
【時評】
- 建築に見る日本文化論高階秀爾
- 取り違えられた記憶渡辺 裕
- クツヌギ藤森照信
- 新型コロナウイルスワクチン事情新妻耕太
- 他者理解のためのしんどい日々濱野ちひろ
- ニュースの見出しと「言葉の実習」古田徹也
- 人がいいのにもほどがある奥本大三郎
【写真で読む研究レポート】
- 「生命循環」を祈る「渦巻」――ユーロ=アジア文明を架橋する文様芸術鶴岡真弓
- 博物学者・南方熊楠と学術賞の効能志村真幸
【連載】
- 夢を種蒔く人・厨川白村――英語教師から新進気鋭の評論家へ(下)張 競